ショートカットの少女
初投稿作品です。精一杯頑張ってみました。
僕はとある理由で転校することになった。
「みんな静かに! 今日は転校生が来ています」
クラスがざわめく。一方で僕は緊張しまくっている。こんな姿を見てもらえるだろうか、と。
「誰だろう?」
「先生! 男子ですか、それとも女子ですか?」
「男子ですよ」
「どうせイケメンでしょ」
「はーい、静かに! どうぞ入ってきて」
僕はゆっくりと思いドアを開けた。
「えっ!」
どうやらみんな期待していたが、一瞬で静かになった。そらそうだ。僕は顔が火傷でおかしな顔になっているのだ。
「多部くんですよ! みんな優しくしてあげてください」
「多部です。よろしくお願いします」
「そこに座って」
そう言われて端の席に着くとちょうどチャイムが鳴った。クラス全体がどよめく。
「大丈夫なのかな?」
「関わらないほうがいいんじゃないか」
「可哀想だな」
先生が教室から出ていったあと周りの人間がしゃべり出す。もちろん誰も僕に喋りかけてくれない。
トイレに行こうと廊下を歩くと嫌がられ陰口が聞こえる。
「気持ち悪い」
「悪いがあいつと関わる気は無い」
僕は何も悪いことをしていないのに何故こんなにも悪口を言われるのだろうか?
休み時間はみんな僕に近寄ろうとせず、僕がシャーペンを拾って渡しただけで嫌がられるのだ。
なんで……、なんでなんだ!火事が起こる前の中学校生活は面白かったのに。休み時間が授業が終わるたび長く感じた。
「みんなしっかり掃除をして帰ってください」
「今日は掃除の班は何班ですか?」
「今日は二班!」
「あー、めんどくせぇ」
二班は僕の班だ。初めての掃除なので何をやれば良いのかわからない。
「先生は今から会議行ってくるから掃除しておくように」
先生はあの重い扉を開け、教室を出た。
「転校生! 今日はお前だけ掃除な、あとよろしく!」
僕は何も言えなかった。結局、僕は一人で掃除することになる。
掃除の仕方が何もわからないのでとりあえずほうきで床を掃除した。ちりとりでゴミを回収し、黒板も十分程度かけ綺麗にした。
すると、誰かが教室に入ってきた。
「あっ、転校生の多部くん?」
「そうだけど……」
「一人で掃除しているんだ、どうせあいつらが掃除を多部くんに押し付けたんでしょ?」
僕は小さくうなずくことしかできない。
「私、渡辺花梨って言うの。かりんって言ってくれても大丈夫だから。」
「かりん……」
「みんな多部くんを怖がっているけど、みんなに敬語だし、掃除も頑張っているし優しいね」
僕は嬉しかった。初めてそんなこと言われたから泣いてしまった。とても恥ずかしい。
「もう私たち友達だね」
そう告げるとかりんはロッカーに置いてあるカバンを持っていった。
「バイバイ、多部くん!」
この出来事があってからは友達がたくさんできたし、かりんには感謝している。僕は卒業アルバムを片手に教室の重い扉を閉めた。