FunnyElevater 第2階
エレベータ。
ヒトやモノを上下に運んでくれるとても頼れる存在。
いまや、なくてはならない運搬装置である。
そんなエレベータは個室。
一人になると、部屋にいるような感覚に陥る。
そこで繰り広げられるエレベータルームは見ていると楽しいのだ。
チンッ
今日も、エレベータが到着した。
扉が開いた、今日は誰だ?
『緑川』さんだ。
このマンションの管理人だ。
ゴルフ好きで、週末に友人とゴルフに出かける。
そんな緑川さんが、ほうきでティーショットの練習をしている。
後ろに大きく振りかぶった状態で、エレベータが開いた。
緑川さんはそのままほうきでスイングする。
「緑川選手のドライバーショット~」
緑川さんは、振りかぶったほうきを思いっきり振る。
「おっと、すごいぞこの距離!!」
「よしっ」
緑川さん、ガッツポーズする。
俺は続ける。
「ナイスショットですね~」
「フェアウェイは捕らえたのか?」
「何ヤード飛んだのでしょうか?」
「早くしろ、会社に遅れる……」
「おっと、飛距離でました。
924ヤード!!」
「やった~、世界記録だ!!」
「すごい記録ですが、OBです!!」
「おいっ……」
「ここは、ショートホールなので、隣のホールまで
飛んでいきました」
「まじかよ!!」
「1打罰で、ティーショットうち直しです!!」
「くそっ、今度はワンオンしてやるからな」
緑川さんはそう言い残し、地下駐車場に向かった。
「いってらっしゃい。
飛ばしすぎには気をつけてくださいね。」
ふぅ、今日も素晴らしい出来だった。
明日もこの調子で頑張るぞ!!