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【唐突なのは自覚しているが】

 【唐突なのは自覚しているが】

 「ところで、転入生の魔王のことなんだが」

 「呼び捨てか」

 昼休みはさん付けしていたが、と指摘したら「他意はない」と返ってきた。初対面かつ普通聞かない名前だから、ある種の警戒をしていたのだろうか。

 「お前の家に同棲しているというのは本当か」

 「藪から棒になんだ、いきなり」

 「もし、それが本当なら、それなりの措置を取る必要性があるからだ」

 どう考えても、同じ学年の男女が一つ屋根の下で暮らしているというのは世間体的にまずい。学校側としては大問題だ。

 「それを隠すならともかく、広めて回るのはどうかと思うが」

 「いや待て。俺はそんな噂広めたつもりはないぞ」

 タカシはしらを切ってみようとするが、カオルは即座に「超・生徒会の情報網を侮るな」とにらんだ。

 「麻島タカシの親友である甲藤ミツルを発信源に噂は広がるどころか、魔王本人に店舗手伝いをさせているそうではないか。隠す気が無いとしか思えんぞ」

 結論からすれば、もはや隠し通すことは不可能だ。ここまで知られているのでは、申し開きも立たない。

 「……同棲じゃねーよ。向こうが勝手に居候してるだけだ」

 「同棲とは、血の繋がりもなく、正式に結婚もしていない男女が同じ家で一緒に暮らすことを言う。この事例に該当しないか」

 辞書のように単純で明快な応答かつ正論に、タカシは詰まらざるを得ない。

 「何か弁明はあるか」

 「まともに話を聞いてくれんなら、ないこともない」

 「聞こう」

 カオルは足を止め、タカシを見据えた。その眼力は、たとえ耐性がある者でも逃れきれるものではない。

 ―――おいおい。

 あの無敵と名高い豊泉院生徒会長が、あの与太話のようなものを聞く気でいる。まだミツルのでまかせの方が真実味があるというものだ。

 「話してみるか……」

 半ばやけ気味に、タカシはすべてを話してみることにする。後で魔王が何か言ってこようが、今の圧力の方が問題だ。

 「引くんじゃねぇぞ」

 「猥談でなければな」

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