【ぷっあ・ふはははははは】
【ぷっあ・ふはははははは】
砂まみれで倒れているハヤミと魔王の笑い声が校庭に響く。魔王と共倒れになったカナもつられて笑う。
「や〜、ほんとに足が速いなぁ」
「おぬしものぅ。平民にしては速い方じゃろ」
「う〜ん、そうかなぁ……」
ハヤミと魔王がむくりと起き上がり、砂を軽くはらった。巻き添えを食らう形となったカナはまだ転がっている。
「うむ。こういうのはアレか、天性の才能と言うのか」
魔王の最後の言葉、才能にぴくりとハヤミが反応を示した。それを見逃さない魔王をぽけっと眺めながら、ようやくカナも起きあがる。
「走るの才能なんかないよ、私には」
【才能とその在り方】
「謙遜というやつか」
ふふんと見下すような魔王にハヤミは力なく微笑んだ。
「本当に無いんだって」
「そんなわけないよ。だって、すっごく足速いでしょ。私なんかとろくて」
カナが力強くフォローに回るが、ハヤミはゆっくりと首を横に振った。
「ただ走るのが好きなのと、ちょっと負けず嫌いなだけ」
「ふん。他の平民からすればイヤミにしか聞こえんじゃろうな」
魔王の言葉にハヤミは困ったような表情をする。カナはどうフォローに回るべきかとおろおろするばかりだった。
「かもね。でも、ほんとに才能は無いと思ってるんだ」
「気のせいじゃ。でかい大会で入賞するやつが何を言う」
「ははっ、はっきり言うよね。でも……まぁ、結果的にそうなんだけど」
ハヤミはどう言うべきかとあごをぽりぽりとかきながら、思案している。
「おぬしがそこまで才能が無いという理由は何じゃ」
「走るのが好きだから」
魔王に劣らず、ハヤミも簡潔にきっぱりと言い捨てた。しかし、それが理由になるとは思えなかった。
「走るのが好きだから、この道を諦めようかと思ってるんだ」




