【すぐキレるのはカルシウムが足りない証拠】
【すぐキレるのはカルシウムが足りない証拠、弁当も野菜を無くして代わりに魚を入れたらどうかのぅ】
「で、タカシ以外に面白いやつっていたの?」
「私はミツルの愛の戦士だぁあぁああぁああっ!」と叫ぶアンナに息巻く魔王へミツルがにこにこ笑って訊く。こほんとひとつ息を吐き、取り乱した呼吸を整える。
「うむ。ハヤミというやつじゃ。あろうことか、ワシに体当たりをしてきおった馬鹿でのぅ」
「へー、度胸あるなぁ」
ミツルが感心するが、それはタカシの指示だった。まさかハヤミがそこまでするとは思ってもみなかったことなのだが、わざわざ言うことでもないと考えたのかタカシは黙っている。
「それにしてもハヤミは足が速い。平民にしては、まずまずじゃな」
「ああ、確かに彼女は大きな大会で入賞してるって話だからね」
「なんじゃ、それしかわからんのか」
「運動部に入ってなければそんなもんじゃないかね。入賞しても校長が式の途中で引き合いにするぐらいだし」
かまってほしいアンナに思い切り腕を引かれ、抵抗の意思をみせるミツルの身体が骨と筋肉のきしむ音と共に斜めっている。愛の戦士の力にはかなわないようだ。
「というわけでタカシ、今日の放課後に陸上部へ寄っていくぞ」
「おれは寄らねぇ。行きたきゃ勝手にしろ」
「ええい、風呂に付き合わんのじゃから、このぐらいお供せんか!」
「声がデケェエェエエッ! さっきっからわざとかぁあぁっ!」
キレたタカシの怒声も既に遅く、クラス中に波紋が拡がってしまった。好奇の目が一斉にタカシに注がれる。
「おお、なにやら注目されてるぞ。のぅ、タカシ」
「……いじめか、これは」
「や、新手のプレイかもしれない」
真面目くさった顔で言うミツルに腹を立てる気力もなく、タカシは半ばやけになったようだ。ドガンと机を思い切りたたき、魔王に「絶ッ対ェ行かねーからなっ!」と怒鳴った。




