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【そもそも魔王の力に耐性が身につくなど考えにくいことらしいのだが】

 【そもそも魔王の力に耐性が身につくなど考えにくいことらしいのだが】

 「カオルと性交でもしたか?」

 「冗談でもやめろ」

 タカシが真顔で返すのを見て、魔王がふむとうなずき上を見た。

 「そうなるのに一番、その可能性が高そうじゃと思ったんじゃが」

 「最悪の可能性だ」

 「……でもさ、これも同類だよな?」

 本気でタカシが嫌がっているようなので、魔王が更にからんでやろうと身を乗り出した。そこに、絡みつくアンナを示す、おどけていたミツルの表情がわずかに硬くなった。一度は屈服しかけ、その恐ろしさを知っているからこそ聞きたかった。

 「勇者のなかの勇者は別格じゃ。それで言えばアンナはそう大したものではないしのぅ」

 勇者のなかの戦士といわれるアンナでは耐性は身につかないらしい。始終一緒にいるミツルが魔王の力に耐え切れなかったのがその裏付けとなる。

 「ま、代わりに馬鹿力だけはあるようじゃが」

 「それは褒めているのかぁあっ!」

 「ナルホドね。よーするに特化してるものが違うのか」

 「うむ。例えるなら戦士は力、賢者は策略、勇者はカリスマ性を全面的に押し出した上ですべてをカバーといったところか」

 「バランス取れてねーよ」

 「言ったじゃろ。勇者のなかの勇者だけは別格と」

 それにしても他の勇者と扱いが違いすぎる。逆に言えば、それほどでなければ魔王を倒す存在として成り立たないのだろう。

 「じゃが、タカシのように勇者でなくとも面白い平民は多々おるのぅ」

 「ふーん。いるんだ。そんな変人」

 「お前もだろ」

 さも「自分は部外者です」との態度を取るミツルにタカシが突っ込み、魔王がけらけらと笑う。

 「他に知り合いなんていたか。お前に」

 「失敬なやつじゃな。このクラスにおる者の氏名はすべて把握しておるぞ」

 「おお、意外」

 「意外なものか。上に立つ者としては当然じゃろう」

 「なら敬語使えよ」

 「敬えるやつがおらんだけじゃ」

 魔王はきっぱりと切り捨てた。自分が上にいて当然かつ本当にそう思っていなければ出てこない言葉だった。

 「あ、でも豊泉院生徒会長もそうだよな。全生徒の顔と名前と所属が一致するって」

 「なぬっ。それは本当か」

 「人の上に立つ者じゃ当然のスキルなんだろ? それを(うらや)むってことは、つまりそいつは下の者ってことだな」

 「うるさいっ。たかが1000人にも満たんではないか。祖父はァルデピマジュムィダに生きる者すべての名前と顔と所在を把握しておったわ!」

 「祖父ちゃんっ子なのはわぁーったよ。でも別にお前が凄いってわけでもねーだろ」

 いちいち(かん)にさわるタカシの言葉に魔王がかみついた。

 「見ておれっ! 今にワシはこの次元に住まう平民の顔と名前と住所と電話番号と趣味をすべて記憶してやるわ!」

 「それはストーカーだぞぉおっ!」

 「おぬしに言われたくないわっ」

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