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【さて、授業も終わり】

 【さて、授業も終わり】

 「帰るとするか」

 「魔王さんは部活とかしないの?」

 帰り支度をする魔王の元に女子生徒が数人集まってくる。タカシがいないこともあり、クラスの女子生徒が気軽に声をかけてくるようになったのだ。魔王は首をひねった。

 「うむ。その気はない」

 「でも、呼んでるよ」

 眼鏡をかけた女子生徒に促されると、廊下ににこにこと微笑むハヤミが立っていた。魔王が仕方なしに、そちらへ向かう。

 「なんじゃ」

 「陸上部の勧誘に来ましたー」

 「やらん」

 簡潔なやり取りできっぱりと言い捨てると、魔王はまた自分の席に戻る。ハヤミは教室まで入り込み、説得しようとするが相手にされない。1年生が2年生の教室に入ってまでする、という辺りからハヤミは相当入れ込んでいるようだ。

 「走るのは楽しいよ」

 「ランナーズハイというやつか。あいにく、ワシはおぬしらとは身体の構造が違うのでな」

 「……うーん、じゃあ、また今度来るね」

 ハヤミはあっさり引いて、教室を駆け足で出て行った。今日は出直した方が良さそうだと判断したのかもしれない。

 「引き際は知っておるようじゃな」

 魔王が素っ気なくそう言うと、また周りの女子生徒が沸いた。

 「ハヤミちゃんから勧誘されるなんてスゴクない?」

 「む。そうなのか」

 「確か大きな大会で上位に入ってるよ」

 短く刈り上げた髪の女子生徒曰く「まだ1年生でありながら過去の2、3年生の記録を次々に打ち破っている。将来有望の選手だ」という。

 「……またそういうやつがタカシになついておるのか」

 ため息を吐きながら、魔王はあきれた。アンナとミツルといい無敵の超・生徒会といい、少しばかり常軌を(いっ)した人間が集まる星の下に生まれてきたのかもしれない。そのなかに魔王もいるのだが、本人はまるで棚に上げている。

 「あ、やっぱり部活やんないのって麻島くんと一緒にいられる時間が減るからなの?」

 「おぬし、何を言いたいのかはっきり言わんか」

 魔王のはっきりとした物言いにたれ目の女子生徒が戸惑う。はっきり言うも何も、周りからすればそういう風に取っているのだ。知らないのは本人達ばかりだ。

 「ま、まぁ勧誘が来るくらいだから入った方がいいよ。うん」

 「ふん。……成績評価は関係あるのか?」

 「ま、ケースバイケースだね。全国大会で入賞とかだったらあるかも」

 それを聞いた魔王は少し興味が沸いたようだ。わずかだが目が輝いているようにも見える。

 「……ま、気が向いたらのぞきに行ってやってもよいか」

 臆さず魔王に身体ごと突っ込んだという借りは返さねばのぅ、と魔王は更につぶやいたのだった。

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