【カオルは一呼吸置いてから、答えた】
【カオルは一呼吸置いてから、答えた】
「私からは何もしないよ。この学校を私闘の賞品扱いするわけにはいかないからね」
「成る程のぅ。ま、よい。実力でおぬしらから支持を奪ってみせるぞ」
そう宣言すると、魔王はくるっと踵を返す。それからタカシを叩くように触れ、「チャイムが鳴る前に戻るぞ」と促した。シイノは話がやっと終わってくれたようなので、少々慌てた様子でカオルの傍に戻っていく。
「豊泉院会長。お時間まであと1分です」
「わかった。間に合わせるよ」
セイが少しほっとした表情で、カオルの後に続く。どうやら校内を巡回していたらしいが、魔王のおかげですべて回りきれなかったようだ。無敵の会長、勇者といえど時間の流れには逆らえない。
「ああ、ひとついいかな」
タカシが魔王に文句を言い、それをハヤミがやんわりと止めていた時だった。カオルが振り向きざまに、魔王に言った。
「あまり妙なチカラは使わないように」
「!」
カオルは滑るように廊下を進んで行ってしまった。それから魔王はくくくっと笑う。
「相手にとって不足は無いのぅ」
「歯ぁくいしばれ」
頭上から降ってきた唐突な言葉に、魔王は聞きもしなかった。タカシはこぶしをごんと魔王の脳天に落とし、さっさと階段の方へ走っていく。ハヤミは叩かれた魔王を見て、「大丈夫?」と声をかける。
「ぬぅ……いきなりなんじゃあっ」
「うるせーよ。世界征服目的で高校に入学するってどんな魔王だ」
「うぅ、別によいではないか」
「よくねーよ。ていうか、あいつらに堂々とケンカふっかけやがって……無謀にも程があるだろ」
タカシはあきれるような、馬鹿にしたような、ため息混じりの声を出した。




