【魔王鎮座】
【魔王鎮座】
奥の部屋は和室で、畳と障子の部屋だ。家出少女は何となく日本人離れしていたが、たぶん大丈夫だろうとタカシは思う。
―――ま、死にはしねーよな。
タカシは足でがらりと障子を開けると、部屋のど真ん中で置いてあった座布団をすべて重ねた上で堂々あぐらをかいて座っている家出少女の姿があった。まるで杞憂だったらしい。
「こら、ざぶとん一枚ぐらいよこせ」
「いやじゃ。何が悲しくて平民と同じ視線に座らんとイカンのじゃ」
今まで同様、かなり高飛車で傲慢な物言いだ。タカシはあきらめて、アイス一本を家出少女に渡してから自らも畳にじかに座った。
「これは何じゃ?」
「アイスキャンディ」
家出少女は渡された冷たいものを持て余しているのを見て、タカシは「いい。食え」と言いながら袋を開けて自分の分をかじった。それでようやく家出少女もその真似して袋を開け、食べ始めた。
「う、うむ、なかなかの美味じゃ。冷たくて甘いのぅ。この暑気にはもってこいの菓子じゃ。ほめてつかわすぞ、平民」
「へいへい」
お褒めの言葉の後は一心不乱にがじがじべろべろアイスをなめるのを見て、やっぱり子供かとタカシはため息を吐いた。
「さて、お前の話を聞かせてもらうぞ」
「ふむ、いいじゃろう。今のワシはご機嫌じゃ。何でも話してやろうぞ」
やっぱり子供だ・単純で助かる、とタカシは安堵した。この分なら、すぐ親元に帰せるかもしれない。




