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【来訪】

 【来訪】

 「む?」

 昼休み中に他クラスへの出入りは珍しくないし、騒ぐようなことでもない。しかし、その生徒3人が入ってきたというだけで、クラスメイトの間に一気にざわめきが広がる。これは何かの助け舟かと、魔王はその3人の方を見た。

 「はじめまして。転入生の魔王さん」

 その視線にすぐ気づき、中央にいた生徒が微笑んだ。だが、目が合ったとたんに魔王はすぐにそらしてしまった。

 「……う」

 「どうかされましたか」

 魔王の狼狽ぶりに、タカシがすっと身を乗り出す。しかし、魔王をかばうというわけでもなさそうだった。タカシの表情が少し厳しくなる。

 「何か用か。……生徒会長様」

 「昨日はきちんと午後から授業に出席したようで何よりだ。真島タカシ」

 それは昨日、屋上でサボるタカシの目の前に現れた生徒だった。


 【ご挨拶】

 「転入生に一言挨拶をしようと思って来たのだが」

 生徒会長とタカシに呼ばれた生徒が、魔王の方を見た。ほんの少し目を細め、腰をかがめて魔王と目の高さ合わせる。

 「初対面だというのに、嫌われてしまったかな」

 「よく言うぜ」

 魔王がようやく毅然とした態度を取り戻し、今度は逆に生徒会長をタカシの肩越しに見つめ返した。

 「……女子(おなご)じゃな」

 「そうだけど、何か問題があるのかな?」

 生徒会長は自らのスカートの端に触れる。その後ろにいる2人も女子生徒だった。

 「改めて、はじめまして、魔王さん。私がこの斗葉高校の生徒会長を務める豊泉院(ほうせんいん)カオルと言います」

 「う、うむ、へ……なかなか殊勝(しゅしょう)な心がけじゃのぅ」

 カオルが魔王へ左手を差し伸べると、魔王もおずおずと左手を差し伸ばして握手を交わす。その表面上は和やかな光景を見ながら、ミツルがこっそりタカシに耳打ちする。

 「なぁ、昨日生徒会長となんかあったのか?」

 「別に」

 タカシはそう平然と返すが、この様子だと生徒会長と何かやり取りがあったのだ。午後から授業に出席するようタカシに促したのが、生徒会長のカオルなのだろうと推測出来る。

 「目ぇつけられて大変だな」

 「不良だからな」

 真顔で言うタカシにミツルは思わず吹き出した。そういう顔でその発言は反則だと、ミツルは笑う。馬鹿にされているようなので、タカシはとりあえず軽くミツルをこづいた。

 「魔王ぉおっ! 私のどこがいけなかったのか4文字で教えてくれぇえっ!」

 空気の読めないあほの子のアンナが魔王に抱きつくと、カオルはすっと手を離した。

 「どうやらお邪魔のようですので。また改めて」

 「豊泉院会長、時間です」

 「は、早く行かないとお客さん待たせちゃいますよぅ」

 カオルの後ろにいた2人がようやく口を開いた。穏やかではっきりした声と茶目っ気がありおどおどした声に、凛とした声が応えた。

 「わかりました。心配させてすみません。行きましょう」

 カオルが動くと、クラスのざわめきがぴたっと止まる。2人を引き連れ、カオルが教室から颯爽(さっそう)と出ていった。その毅然とした後姿にクラスの女子や男子達がほぅと見とれている。

 「まぁ、なんつーか凄いお人だ」

 ミツルが感心して言うと、アンナが「浮気はぁああぁあああぁあっ!」と涙目でつかみかかる。タカシはやれやれと安堵していると、魔王がぐいっとその制服のすそを強く引いた。

 「タカシ。答えよ。あやつらは何者じゃ」

 「あ?」

 「答えよ」

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