【こちらのルール】
【こちらのルール】
「ワシはここについてを図書館で学んだ。そしたら、意外とワシと似たような状況になっている者は沢山おった」
「待て。それ、本当か?」
「うむ。別世界から来た人間と一つ屋根の下に同居ということが書かれた本は多かったぞ」
「……それ、どんな本だ。ありえるかっつーの」
タカシが訊くと、魔王は「軽くしゃべるコーナーにあった」と答えた。タカシとミカコは何かのテレビ番組ものかと想像したが、恐らくそれは『ライトノベル』のシャレだろう。
「悪いが、それは嘘っつーか娯楽ものだろうから本当のことじゃねーだろう」
「そうか。……仲間がおったと思うたのに、あれは伝記ではないのか」
頭をかくタカシに、魔王が残念そうにつぶやいた。魔王からすれば、自分と同じ境遇の存在がいるというのは嬉しく夢中になって読んだに違いない。
「じゃが、別の本でこちらに関する重大なことも知った」
「だから、なんだよ」
魔王はタカシとミカコの顔を交互に見て、言った。
「ここは学歴や経歴が重視されるらしい、と。それはワシとて例外ではなかろう」
「あー?」
タカシとミカコが顔を見合わせる。学歴社会などと言われてはいるが、それだけでもないはずだ。
「ワシは考えた。この次元に来た以上、ワシはここに適応しなければならぬ。その為にも、ここを知らなければならぬ」
ミカコはうーんと首をかしげ、タカシは黙って聞いている。
「ワシの存在がここに認められる為に、ワシがここをより詳しく知る為に、ワシは『年相応』に学校へ通うことにしたのじゃ」
「ああ、そうか」
タカシが危惧するまでもなく、魔王も自分の身の降り方をきちんと考えていたようだ。その為にこちらの世界の仕組みを知ろうとした。生活サイクルも合わせようとしていた。それは高校通学への布石だったのかもしれない。
「金と戸籍はどうしてる」
「奨学金とやらも利用してみたかったが、間に合わぬようなので魔王の力的なもので得た」
「犯罪ではないぞ」と魔王が付け加えるが、タカシ達には詳しく話さない。しかし、深く追求するのは話がすべて終わってからでもいい。
「戸籍も……似たようなものじゃな。目に見える書類は作らなかったが、まぁ適当にやっておいた」
「……何でもありなのか?」
「天上のことは平民には理解出来ぬものよ。魔王じゃから可能な領域での」
「じゃあ、経歴も偽造すればいいだろうが」
魔王はフンと鼻で笑った。




