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【余計だったか】

 【余計だったか】

 「タカシ、おぬしは無駄に臭くてかなわん」

 「うるせーよ」

 魔王がもの凄くイイ顔で拒絶する。ミツルは抱腹絶倒(ほうふくぜっとう)、アンナはそんなミツルと一緒に転がっているだけだ。

 「朝来野と絡んでたのはちょっと顔の知れた仲良しこよしでな。おれとのやり取りをクラスの女子が見てたらしくてな。そういうのに関わりたくなかっただけだと」

 「あぁ、そんな日も経ってないしな」

 カナの元にこうしてすぐ来なかったのは学校は同じとわかっていても、学科・学年・学級(クラス)がわからなかったからだ。自分達からわざわざしらみつぶしに探していくのも面倒だと、放っておけば忘れてもくれたろう。

 「そこへワシの校舎案内で色んなところに顔を出したせいで」

 「見つかっちまったんだよ。ったく」

 人の噂も七十五日。タカシの言う勝手に解決するとは時の流れのことで、確かに下手に手出ししなければいずれまたカナと女子生徒の間は元通りになったはずだろう。集団的疎外ではあったがいじめではないからだ。

 「で、何ゆえタカシがすぐ傍におったのじゃ。のぅ?」

 魔王はちらっとミツルとタカシの方を見るが、流された。しかし、それで声に出しての追求をやめる魔王ではない。

 「よほどカナが心配だったのじゃな。()い奴め。つけおったな?」

 「バカ言うんじゃねーよ。たまたま、だ」

 タカシはそう言うが、ミツルはその後ろで手を横に振って否定している。魔王の言う通り、校内を歩き回ると知って心配になったのだろう。案の定、見つかってしまったわけだ。

 「麻島くん。ありがとうね」

 カナはぺこりとお辞儀をしてみせると、タカシは目を合わせず「礼を言われるこたぁねーな」と返す。

 「でも、いいの。私は平気だから」

 真っ直ぐにタカシのことを見て言う様や言葉も、あの時と同じだった。

 「余計だったか」

 「嬉しかったよ」

 タカシもあの時と同じ様で言葉を返すと、カナも同じように返してくる。アンナは2人の空気に更に燃え上がり、ミツルと魔王はにやにやして見ている。2人は小声で話し合う。

 「これは、のぅ? 甲藤」

 「あぁ。予定とは違うが、状況は似たようなもんだな」

 「もう一押しか」

 ミツルは笑顔で「む、ぬぉぉおぉぉっ!」と燃えるアンナを頭から押さえ込み、黙らせる。魔王は耳をふさいで少しだけ距離を置いている。

 「じゃあな」

 「うん。魔王さん行こう」

 「そうか」

 カナにつられて魔王が歩き、タカシも踵を返して元来た廊下を歩いていく。ミツルとアンナはいつものようにバカップルだ。

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