【校舎案内】
【校舎案内】
部活動があると言った割には、カナは丁寧に校舎内を案内してくれた。
「斗葉高校は4階建て普通科棟と5階建ての工・商業科棟、3階建ての部室棟に地下施設のある体育館の4つに分かれてるの。でも、どの棟も渡り廊下みたいので繋がってるから行き来は簡単かな」
ミツル達がこっそり使っている『あまり使われていない応接室』は普通科棟にある。工・商業科教職員室以外の校長室などの外来関係は普通科棟に集中しているようだ。
「その代わり工・商業科棟は作業場とか設備が充実してるけど、私達はあんまり使わないかなぁ。あ、危ないから屋上へは行っちゃ駄目だよ」
以前はタチの悪い不良などのたまり場だったそうだが、今は別の抑止力のおかげで誰も行こうとはしない。行くとすればその抑止力を恐れない変わり者だけだという。
「平民の学び舎にしては広いのぅ」
「そうかな。こんなものだと思うけど……」
カナは自信無さそうに言うと、魔王はふんと鼻を鳴らした。実際、他の学校を見比べてきたわけでもないので適当に言っただけだった。
「もう良い。あとは案内板で詳細を確認する。本題に入るぞ」
「あ、うん。何かあるの?」
まだカナは魔王の思うところがわからないらしく、何を聞かれるのかと緊張している。
「ワシは遠回しに聞くだとかは嫌いでのぅ。カナは」
魔王が言いかけると、いつの間にかガラの悪そうな男子生徒にカナと一緒に囲まれているのに気づいた。どうも理知的な思考回路は持っていなさそうな連中だ。
「知り合いか」
「……はい」
カナは言葉を濁し、うつむいた。察するに何か面倒事が起きているのかもしれない。
「ふむ。おあつらえ向きの状況じゃな」
「え?」
「いや。それより、どうするのじゃ?」
「あん時のこと、覚えてるんだろーな」
囲んでいる連中の1人がそう言うと、カナは小さくうなずいた。魔王は置いてけぼりだが、この状況を楽しんでいた。
「なかなか面白そうな学校ではないか」
魔王はそう笑った。




