【屋上で】
【屋上で】
「サボるとはいい身分だな。麻島タカシ」
1時間目から屋上にいるタカシが、その来訪者の方を見た。4時間目の始まりのチャイムまで、あと2分だ。
「……お前も授業はどうするんだ」
「一緒にするな。これだけあれば、遠く離れた体育館にでも間に合う」
来訪者は当たり前のように言うが、普通なら出来るわけがない。
「そーかよ。で、おれがいつサボりだって? ここへは授業の合間に来ただけだ」
「既に各教科の担当教師に確認済みだ」
タカシは心の中で舌打ちした。よりにもよって、面倒な相手に見つかったものだ―――と。この来訪者はその真っ直ぐな目で何でも見通している。
「お前は授業の合間にここへ来たと言うのだな」
「……」
「ならば、今から4時間目の体育に出ることだ」
くるりときびすを返し、その来訪者は屋上を出て行った。それから30秒もしない内にチャイムが鳴った。
―――台無しだ。
せっかく、久し振りのサボりだというのに邪魔が入った。これ以上、ここにいる気にはなれない。
「今から間に合うかよ。お前と一緒にすんな」
タカシはつぶやくと、そのまま屋上を後にした。それでも、午前の授業に出る気にもなれなかった。
「……ちっ」
タカシは舌打ちした。屋上の扉に手をかけようとした時、離れた運動場から「魔王ぉおっ! すごすぎるぞぉおっ!」と聞きなれた叫び声がしたのは気のせいだろう。




