【出会い頭】
【出会い頭】
結局、あれから再びトライアングルを訪ねるということもなくタカシは帰路についていた。愛チャリを押して進ませ、前のかごに入っている宿題をがたがたと揺らす。
「……うし、まぁどうにでもなれっ」
半ばやけくそ気味に独り言を呟くと、宿題の重みでバランスが崩れてがたんと愛チャリが揺れる。ハンドルを押さえ込んでなんとか転倒は防ぐものの、前輪で小石をビシッとはじいてしまったらしい。
「ん」
勢いよく跳んでいったそれが、ちょうどミツルと別れた曲がり角に突っ込んでいくのが見える。いつの間にかここまで戻ってきていたようだ。
「あ」
タカシは見た。跳んでいった小石が、ちょうど曲がり角から来た人に直撃した。
「だ、大丈夫かっ」
慌ててタカシは駆け寄るが、当たり所が悪かったのかその人はばったりと倒れてしまった。タカシも悪いが、この人も運が悪い。
「やべ……」
ここで逃げ出すほど、タカシは根性の腐った男ではない。愛チャリでさえ放り捨て、その人の元へ駆け寄る。
「大丈夫か」
その人は……その子は小学2,3年生くらいの女の子で、センスはあまり良くないが高そうな服を着ている。どこかのお嬢様だろうか。
―――反応ねぇな。
タカシが呼びかけても、軽く頬をたたいても返事はない。たかが小石、されど小石。……完全にのびてしまっている。面倒なことになってしまった。
「……とりあえず、ウチに運ぶか」
幸い、頭は打っていないようなので動かせる。タカシは愛チャリの後ろの荷台に女の子を載せ、落とさないように急ぎ足で店へと向かった。
【拾ってきました女の子】
タカシは愛チャリに異変を載せて店に帰ると、まずは店番をしていたミカコが迎えてくれる。
「早かったね。しゅくだ……」
「わりぃ。今はそれどころじゃねーわ」
ミカコは目を見張り、荷台に載せられた女の子を見た。
「どうしたんだい。この子」
「小石をはねたらこいつにぶつかっちまった。奥で寝かせとくから」
「あ、ああ……わかった。何か冷やすものとか準備しようか?」
「いや、おれがやるから」
タカシはそう言って、愛チャリから女の子をおろして背負い、店の奥に入っていく。ミカコはそれを見て、ふぅと息を吐いた。
「……また拾ってきた」




