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【初日から】

 【初日から】

 登校にうんざりしながらタカシは帰路に着いた。八百屋で働くのと同じぐらい疲れる。むしろ、お客さんの笑顔があるだけ八百屋の方がマシだと思えるぐらいだ。

 「お、おかえり」

 「ああ、ただいま」

 接客中のミカコがそう返すと、常連のおばちゃん達もおかえりを連発してくれる。なかには「愛しのタカちゃん値引きして」と言う人もいる。

 「らっしゃい。すぐ支度するんで」

 「いいよぉ、別に。ていうか、カバンぐらい部屋に置いてきなよ」

 「いーだろ。別に」

 店の前でミカコと押し問答していると、頭上から誰かが声をかけてきた。

 「……おぉ、タカシ。どうしたのじゃあ」

 眠い目をこする魔王が、2階からひらひらと手を振っていた。常連のおばちゃん達はいきなり顔を見せた女の子に興味津々だ。

 「やっぱりカバン、部屋に置いてくる」

 「はいはい」

 タカシはだかだかだかだかと家の中を駆け回り、魔王のいる部屋に踏み込んだ。

 「おいッ」

 「タカシ、やかましいぞ」

 「お前、まさか今まで寝てたのかっ?」

 「うむ。らしいのぅ……」

 そう言う魔王はまだ眠そうだった。タカシは怒るのも何も諦め、ただあきれていた。

 「もしかして、お前、記憶が飛んでるんじゃなくて……時差ボケみたいなの起こしてるんじゃねーか?」

 「かもしれん」

 魔王は今まで今までいた次元の生活リズムを思うままに守っていた為、日が早く昇ったりあっという間に夜が来たように感じていただけだったようだ。それよりも何故気づかない。

 「ふん。魔王たるもの、環境の変化に自ら振り回されてどうする」

 そう言うなら、既に振り回されているような気がするなとタカシは思う。しかし、眠そうな魔王はあくまでふんぞり返っている。

 「ああ、わかったから下降りて来い」

 「む? なんじゃ、もう朝飯か」

 タカシは肩をすくめた。

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