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【9月1日】

 【9月1日】

 「おはよ」

 くぁっと大あくびをしながら、既に制服に着替え終わったタカシが1階に降りてきた。台所に顔を出したが誰もいないので、もう店の準備をしているのだろう。

 「……あぁ、ったによ〜」

 何やらぶつぶつと文句を言いながら、表に出てみるとちょうどミカコが業者から仕入れた野菜を冷蔵庫に入れているところだった。

 「おはよう。宿題は終わったのかい?」

 「あー、まぁなんとか」

 タカシはそう濁すと、ミカコは苦笑した。

 「ま、信じてあげるよ」

 「どーも」

 会話している間もミカコは手を休めない。タカシは仕入れた野菜をひとつ手にとってみる。

 「……今日からまた1人か。倒れねー程度にやれよ」

 「客商売でそんなこと言っちゃいけないって」

 ミカコは手をひらひらとさせてかわすが、女手ひとつで店を切り盛りするのは相当キツい。というより、休むひまなんてない。疲労困憊(ひろうこんぱい)で実際に倒れてしまったこともある。そうならないよう充分な人手を入れればいいのだろうが、最近は思うように集まらないのが現状だった。

 「なんなら魔王に手伝わせろ」

 「あははは。それよりあんたは学校行っておいで。昼はどうすんだい。帰りは早いのかい?」

 「今日は始業式だけど……授業あるから、適当に購買で食うよ」

 「そーかい。んじゃ、行ってきな」

 「おう」

 タカシは学生カバンを右肩に乗せ、さっさと歩いていく。ミカコに一声かけられ、振り向くとビニル袋に入ったトマトとキュウリが投げ渡される。タカシはうまく左手でそれを受け止めた。

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