【おれの部屋の隣のここを】
【おれの部屋の隣のここを】
「魔王の部屋にした」
「別にいいわよ。空いてたんでしょ」
タカシとミカコは足元のそれを見ながら、会話する。
「ついでに布団も適当に持ってきて、敷いておいた」
「いい判断ね」
ミカコが掛け布団の色を気にしていると、タカシはしゃがみこんでそれに言った。
「うちはちょいと手入れが面倒なひのき風呂でな。もの珍しがって殆どのやつがはしゃいで、大体が滑って転ぶんだよな」
「うぅ〜」
魔王は悔しそうにタカシのことを見上げている。転んだ上、どうやらのぼせているらしく、反論も何も返ってこない。
「そういやコイツの服はどうしたんだ?」
「あんたの小さい時の服だよ。色気のない男もんで悪いねぇ」
それでもシャツやパジャマならばそう気にするほどでもないだろうし、魔王自身も何も言わなかったから良いだろうとミカコは言うが、のぼせた状態で嫌とはっきり告げられるわけがなかった。
【寝る前にすること】
「……あとで歯みがきはしろよ。ウチのせいで虫歯になったと言われても困るからな」
タカシはそう言って、「おれもさっさと風呂は入って寝るか」とあくびした。
「待ちな。あんたは宿題も残ってるでしょ」
ミカコの鋭い突っ込みにタカシはぴたりと止まった。完全に忘れていたといった感じだ。
「……勘弁してくれよ」
魔王の世話に半日近く費やされたタカシの悲痛な呟きだった。




