【9月15日】
【9月15日】
「死んだか、ワシの目にも届かぬところへ消えたか。さては本当にィエルア゛ミャメーァだったのやもしれぬ」
魔王は残念そうでもなく、ただ思いついただけの可能性を口にした。
「今となっては、もうわからぬ」
「そうか……」
「ただ『私』ではなく『おれ』という辺り、口調だけはおぬし同様なかなか若々しかったぞ」
「そこかよ」
タカシはひとつ息を吐いて、自らの足元を見つめた。それから店先の横に置いてある2代目の長イスに座って、緑茶と猪熊の和菓子を食べている魔王へと視線を移した。
「あれから12年か」
【矢のごとく歳月過ぎて】
「タカシはだいぶ老けたのぅ」
魔王は壮年から中年に移りかけているタカシを見て、しみじみとつぶやいた。口調はともかくとして、青春盛りの高校時代と比べ、肉つきから顔までだいぶ変化したものだ。
「それは普通だ」
「そうじゃな。タカシはどこまでいっても平民じゃった」
「喧嘩売ってんのか」
タカシが高校時代の調子でそう返すと、不敵に笑う魔王は軽く応えた。
「おお、売るぞ。天下の魔王様に買えるものならな」
魔王の、高校時代の調子で返され、タカシは少しだけ悔しげで諦めたような表情を見せた。
「……12年前なら、確実に買ってるがな」
「じゃな。今は本当にワシの天下じゃ」
くくっと愉快そうに、魔王は笑った。
「今年でちょうど10年。ワシがこの地球を支配してからのぅ」




