【血名の繋がり】
【血名の繋がり】
「それはよかった」
キミヤがつぶやくように、魔王に微笑んだ。
「うむ。祖父は立派な方じゃった」
「1人でも尊敬出来る大人がいるということはいいことだ」
キミヤは嘆くように、自嘲するようにそう言ってのけた。
「……じゃが、ィエルア゛ミャメーァにも感謝していないこともない」
「うん?」
魔王がふんと鼻息荒く、少しだけ感慨深そうに言った。
「ワシがこうしてこの次元に来られたのは、同じようにィエルア゛ミャメーァが成功したからやもしれぬ」
キミヤにはそれがどういうことかわからない。魔王は偉そうに、かつ認めたくないように空を見上げた。
「名を受け継いだワシだからこそ、成功したのやもしれぬ」
その名を分け与えるということは眷族や魔王にとってはただそれだけのものではない。確かに親子であるという共通の何かを、名と共に魂に与えることでもあるらしい。
「いいな。そういうの」
「あくまでもついでじゃがな。成功したのは祖父の日頃の教えが良かったからじゃ。そうに決まっておる」
あの時は魔王もすべてを尽くした上で必死だったが、それでも成功するかなんてわからなかった。それでも、唯一の成功例は、魔王に名を分け与えた魔王の父親だけだ。
「……魔王になってから、何もかも捨てたんじゃからィエルア゛ミャメーァなどという者は関係ないんじゃ」
「そうかな」
「そうじゃ!」
そう力強く断言し、意地をはる魔王にキミヤは暖かな視線をやった。
【ソロモンや獣医に出来て魔王に出来ぬわけがない】
「ところで、俺はどうやって見つけ出した?」
「簡単じゃ」
魔王はすっと上に向けて、指を差してみせた。見上げてみても何もないが、聞き覚えのある何かがいる。
「まさかとは思うんだが」
「うむ」
バサバサッと羽音とともに黒い体を持った都会の鳥が魔王の肩に舞い降りた。その様はまさに絵に描いたような魔王降臨の図だった。
「カラスじゃ」
夜目は利かないし夜行性でもないが、その数は多い。人海戦術ならぬ鳥空戦術で、それらしい人影を探させたのだ。
「知力も高い。意思疎通はなかなかたやすかったぞ」
ぎゃあぎゃあと鳴くカラスは当然だ、と言い張っているようでおかしかった。しかし、それだけでは見つからないだろう。
「それと街中の監視カメラものぞかせてもらった。どちらも賭けじゃったが、平民より御しやすかったのでな」
「どうやってハッキングを?」
「パソコンというものでな。普段は図書館のものを使うんじゃがのぅ」
魔王はしみじみと、カラスについばまれながら自らの機転の良さと功績を語った。




