【考えてもみよ】
【考えてもみよ】
「おかしいとは思っていた。この次元で勇者と出会った時点で」
この次元の勇者と出会ったのは魔王が通い始めた高校で、しかも同級生かつタカシの友人の彼女という近しい繋がりだった。
「その時は魔王と勇者は離れがたき存在同士なのだと、切れぬ因果にあきれたものじゃった」
ゆっくりと首を横に振り、魔王はわざとらしくため息を吐いた。キミヤは腕を組み、目を閉じて聞いている。
「しかし、それにしては勇者が早く生まれすぎている」
十数年も前から魔王がこちらの次元に来ることが運命、または確定事項とされていたわけもない。
「この次元とァルデピマジュムィダは類似した点が多く見られる」
それでも時間の流れ以外でも相違する点はいくらでも見つかった。特に酸素濃度や重力の違いは元から強い魔王とタカシをはじめとする一般的な平民との身体能力を更に引き離した。
「たどり着いた結論として、この次元にワシの知る平民と近しい種族があるならば、同じように魔王の眷属も存在するのではないかということ」
図書館で得た知識ではあるが古くから神などとあがめられた人間の一族は世界各地に記録が、存在が今もなお残っていることを魔王は知った。
「アンナやカオル達はワシではない魔王に対した勇者なのではないか、と」
それが魔王の出したひとつの、今一番高い可能性だった。
「そのような勇者が生まれ、恐れた魔王は勇者が住む同じ街から出て行くようになり……そして帰らなくなった」
はずれているかもしれない憶測だが、魔王は自信たっぷりに聞いた。
「違うか? キミヤ」
しかし、問われたキミヤの表情は芳しくなかった。
「とぼけようとしているわけじゃないが、俺はそういう存在じゃな」
「麻島キミヤ」
魔王が言葉をさえぎり、更に続けた。




