【9月14日】
【9月14日午前1時19分】
「どこにおる」
魔王は街灯に照らされ、ぼんやりと明るい車道の真ん中で周囲を見渡した。
「どこにおるんじゃ」
そうつぶやきながら、魔王は夜の街を駆け抜けた。その速度はこの地上にいるどんな生物より速かった。
「また繰り返すのか、キサマは」
軽やかに地面を蹴って跳び宙返りをすると、高い電柱の上に立った。そこで目を凝らす。
「見つけてやるぞ」
【午前1時3分】
「むぅ」
魔王はがばっと起き上がり、部屋に置いてある時計を見た。時刻は1時を回ったところだ。
「いかんな。目が冴えた」
元いたァルデピマジュムィダ次元とこの次元では時間のサイクルがかなり違っている。もう慣れたものと思っていたが、まだ感覚にズレが生じているようだった。
「……腹も減ったのぅ」
夕飯はたらふく食べたのだが、元より魔王には食事は平民からのエネルギーの代償行為にしか過ぎない。どれだけ穀物や肉、菓子を食べようとも満たされないところがある。
「仕方ない」
代償行為とはいえ、何かつまみ食いしてくれば少しはマシだろうと思い、魔王は布団から抜け出した。
「少し肌寒くなったか」
夏から秋へ移り変わっていく兆候を肌で感じ、そうつぶやく。それから魔王は部屋から出る前に、自身の威厳が損なわれないよう・つまみ食いがバレないようにと、念のために他の者の気配を探ってみることにした。
「……ない」
気配を感じ取れなかった。まだ寝ぼけているから、魔王の勘違いというわけでもなさそうだった。
「やつはどこじゃ」
魔王は小さく舌打ちをした。




