【あんなに直情的な愛だから、試さずにはいられない】
【あんなに直情的な愛だから、試さずにはいられない】
「突き放しても、突き放しても、寄って来てくれるんだ。バカみたいだろ……」
自嘲するミツルが右手の親指を自分の心臓につき立ててから、両腕を大きく広げる。
「こういう俺と付き合ってくれる他人より親しい友人がいれば、他にいらないもの」
高校でアンナやタカシといる時と違って、ミツルは朗らかに自虐している。魔王は何も言わず、静かにそれを見ていた。
「俺に付き合いきれなくなったら離れてくれればいいし、その方が気が楽だよ」
「難儀なやつじゃ」
魔王はあきれた顔でひとつ息を吐くと、ミツルが右手の平を魔王の方に突き出した。
「あ、でも、家庭環境のせいにする気はないから。親は関係ない」
ビシッと牽制し、魔王の次の言葉を制止させた。
「そんなことまで親と関係付けられたらたまらない」
ミツルがもの悲しげに笑うと、魔王も似たような表情を取る。それから再び魔王はパイプベッドに腰かけた。
「哀れじゃのぅ」
「どっちが、かな?」
「その答えは、とうに知っておるじゃろう」
「だから聞いたのに」
いつもの調子に戻ってきたミツルがおどけると、魔王は床に置いたカップを見た。
「おぬしのいれた茶はなかなかのものじゃった」
カップに注いでいた視線をミツルへと移し、それから天井を仰ぎ見た。
「人柄だの評価だのとはその様なもので充分じゃと思うがのぅ」
「サンキュ」
ミツルが床のカップを拾い上げると、魔王にウインクしてみせた。
「ティーパックだけどね」
魔王がくくっと笑うと、ミツルもいつものようにHAHAHAHAHAと笑った。異様な緊張感、雰囲気が一気にほぐれていった。




