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【場面はとんでミツル自宅へ到着】

 【場面はとんでミツル自宅へ到着】

 ミツルの家は小奇麗でオートロック付きの20階建てマンションにある一室だった。魔王にそういった相場はわからないが、雰囲気的には高級マンションに近いものがありそうだった。

 「んじゃ、あがって」

 「そうさせてもらう」

 遠慮も何もせず、魔王は靴を脱いでずかずかとミツルの家へあがりこむ。そのあとにこの家の主であるはずのミツルが追った。いつの間にか魔王が主導権を握り、その立場を逆転させていた。

 「割と広いのぅ」

 きょろきょろと周囲を見渡し、魔王がつぶやいた。

 「物がないからね」

 「確かに。ざぶとんもない」

 単に物がないだけではなく、2LDK+Sという間取りは1人暮らしには広すぎるほどだ。しかし、他人を出迎え、もてなそうという意思をミツルの部屋からは一切感じ取れなかった。

 「お茶ぐらいは出せるから」

 ミツルが台所に立っている間、魔王は好き勝手に物色を始めつつ訊いた。

 「この部屋は親が金を出してるのか」

 「そうだよ。1人暮らしする時に用意してくれた」

 「贅沢者め」

 「そうだね」

 少量の湯を沸かし、いれた紅茶を持ってミツルが台所から出てきた。魔王がそれを受け取ると角砂糖を4つほど欲しがったので、ミツルはまた台所へ戻ることになった。

 「でも、俺が本当に欲しいものは何もくれなかった」

 魔王の所望する角砂糖はなく、普通の砂糖も切らしていたので代わりにと蜂蜜を持ってきた。直に床に座るのが嫌だったのか、パイプベッドに腰かけている魔王がそれを入れると紅茶の色が真っ黒になった。

 「愛か」

 「みたいなもん」

 「金も愛ぞ」

 「かもしれない」

 ふぅっと息を吹いて紅茶を冷まし、ミツルは一口飲んだ。

 「親が子に注ぐのは愛と金だから」

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