【感動とは程遠い再会ってレベルじゃねーぞ】
【感動とは程遠い再会ってレベルじゃねーぞ】
胸ぐらをつかまれていても、箸を手放さないその男がタカシの父親だというのに今度は魔王が絶句した。
「ただいま。……大きくなったな、タカシ」
タカシも魔王も未だに信じられない、という表情をしていた。
「ミカコの味つけは変わらんな。うまい」
「どこ行ってたんだ」
「店の方も繁盛してるようで何よりだ」
「今までどこに行ってたんだっ」
息子の怒号にもタカシの父親は平然としていた。それは冷たくも感じられる。
「用があった。それだけだ」
「な……」
「ごちそうさん。店の方にミカコがいるんだろ? ちょっと行ってくる」
魔王の存在もタカシの言葉もすべて無視して、タカシの父親は居間から出て行ってしまった。残された2人は無言でそれを見送るしかなく、姿が見えなくなったところで魔王がぽつりとつぶやいた。
「人として何か間違ってないか?」
「……そうだな」
人じゃねぇ魔王が言うな、といつものタカシならツッコんでくるかと思ったが、それはなかった。ただタカシは頭をがしがしとかいて、ため息を吐いていた。
【タカシらしくない】
「どうした?」
「いや……」
「父親が帰ってきて嬉しいか?」
「いや……」
煮え切らないタカシの反応に魔王が少しイラついているようだ。先程もつかみかかったかと思えば、殴りもせずそのままで終わった。
「正直、わかんねーな。どうすりゃいいのか」
数年間も父親に会えなかった子供にしては感動も反応も淡白だが、それは大人にはなりきれないが分別はついてしまう高校生だからかもしれなかった。
「わからん? そういう時は一発殴っておけば間違いないぞ? 子を放ったらかしにする親などろくでもないからのぅ」
魔王がシュッシュッとジャブをしながら言った。そのシンプルで力強くわかりやすい言葉に、ククッとタカシが小さく笑った。
「とりあえずおれ達も店の方に戻んぞ」
「いや待て。ワシはまだ飯を食うておらぬ」
「あきらめろ」
「ワシの辞書に思い通りにならぬという言葉はないのじゃ」




