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【売れない八百屋の闖入者】

 【売れない八百屋の闖入者】

 「おお、ちょうどいい。タカシ、なかにいる者をつまみ出せ」

 「あぁ?」

 いきなりわけのわからないことを言われ、タカシが何を言ってんだと仕置きも兼ねて魔王の頭をぐりぐりした。こめかみを押さえられ、じたばたと魔王が痛そうにもがいた。

 「大体いつまで飯食ってんだ、お前は〜ッ」

 「まだ食うておらぬ、食うておらぬぅ!」

 まだ10分も経っていない、いくらなんでも早すぎるとこらえながら魔王が抗議した。しかし、タカシは店の込み具合を考慮に入れろとしごくまともな反論でそれを抑え込んだ。

 「くぅ……! 盗人がおるんじゃ、ワシの昼食を盗ったやつがおるんじゃあ」

 「んだよ、そりゃ」

 「嘘だと思うなら居間を見てみるがいいわッ」

 「……。そうさせてもらう」

 タカシは魔王のことを信用していないのではない。魔王がここまで言うのだから、嘘ではないことも察した。しかし、居間の静けさから物盗りである可能性も低いともにらんでいた。

 ―――開けりゃわかるか。 

 ため息を吐きながら障子戸をがらりと開け、居間のなかを見た。

 「……」

 居間のなかにいた男は変わらず、魔王が一度障子戸を開けたにもかかわらず食事を続けていた。そして、その男の顔を見てタカシは絶句した。

 「知り合いか?」

 魔王の問いにも答えず、タカシは居間に踏み込み、その男の胸ぐらをいきなりつかんだ。それから男の顔を凝視した。魔王は後ろでいいぞ、やれぇっとはしゃいでいた。

 「オヤジ……ッ?」

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