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【部屋のなかの2人】

 【部屋のなかの2人】

 「ぬぅ〜、タカシは乱暴者じゃあ」

 「人の家を壊すやつが何を言うか」

 魔王は叩かれた頭を抑え、じろりとタカシのことをにらみ続けている。その涙いっぱいの眼光の鋭さは人を射殺せそうだ。いや、魔王なら本当に実現可能かもしれない。

 タカシはがたがたと音をたてながら、魔王が踏み倒した障子戸をはめ直している。

 「……これでよしっと」

 はめ直した障子をスライドさせ、具合を確かめる。破れた障子紙も張り直さなくてはいけないが、タカシはやったことがなかった。そもそも、ここ数年で大掃除でも貼り直した記憶が無い。

 「しかたねぇな」

 「む、どこに行くのじゃ」

 魔王が頭を抑えながら、がらりと開けた障子戸の向こうに行ってしまうタカシを引き止める。その顔は不満たらたら、行くなと目で訴えている。

 「母ちゃんにお前のことを話してくんだよ。だから、おとなしく待ってろ」  

 「……そうか。なら、致し方ない。部屋の退出を許可する」

 「へいへい」

 どこまでも支配者を貫く気か。それとも寂しがり屋なのか、とタカシはにやりと笑う。

 「―――っ! もうよいっ、さっさと行ってしまえ!」

 「おー、行くともさ」

 その笑みに何を感じ取ったか魔王が強制退出を命じた。タカシはあきれながら、魔王に「これ以上、部屋壊すんじゃねぇぞ」と釘を刺しながら、部屋を出た。


 【とりあえず】

 魔王を部屋に置いてきたはいい。しかし、この後のことは何も考えていなかった。常識的に、身元も素性もわからぬ少女を家に泊めろと言うのか。とりあえず話してくれた異次元の話で、ミカコを納得させることが出来るのだろうか。

 「無理だな」

 タカシはそうあっさりと認める。やはり断るべきだったか。まともに対応したから、向こうもつけあがってしまったのかもしれない。いや、まともにかは微妙なところだ。

 「どうするかな……」

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