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【不法侵入】

 【不法侵入】

 「ないっ」

 冷蔵庫を開けての開口一番、魔王が口を尖らせた。

 「何もないではないか。タカシのやつめ」

 もう一度冷蔵庫のなかを覗き込むが、そこには食べられるものが何もなかった。昨日の残りものも今朝の朝食の残りもなく、冷凍庫のすみで霜がついていた食パンだけだった。

 「これだけとは……魔王たるものが情けないぞ」

 がっくりとうなだれ、冷蔵庫からバターといちごミルクを取り出した。魔王はバターを電子レンジで柔らかく溶かし、いちごミルクに砂糖を入れた。

 「食べないよりかはマシじゃな」

 自らの手で料理することなど考えもせず、深くため息を吐いて魔王は居間へ向かった。本来ならば魔王に食事は要らないのだが、支配平民からのエネルギー徴収が思うように出来ない現状ではそうも言ってられなかった。

 ―――おかしいのぅ。

 今朝方、魔王が朝食の後片付けを少し手伝った時には冷蔵庫のなかには様々な残り物やおかずが入っていたはずだ。しかし、昼過ぎた今では何もなくなっていた。これは魔王以外の誰かが食べてしまったのに違いなかった。

 「タカシのやつめ。あとで思い知らせてやらねば」

 お盆にのせた食パンといちごミルクをにらみつつ、魔王はてくてくと居間まで歩いて、足で障子戸をがらりと開けた。

 「……」

 表情を崩さず魔王は障子戸を閉め、お盆を床に置いてから腕を組んだ。それから首をひねって、考え込んだ。

 「?」

 見たことのない男が居間のちゃぶ台で飯を食べていた。しかも、その上にのっていたのは魔王の求めていた冷蔵庫のおかずだったように思える。

 「ぬぅ、ワシの昼飯を横取るとはいい度胸じゃ」

 「つーか、お前は何やってんだ」

 ぬっと背後に現れたのはご立腹のタカシだ。魔王が帰ってこなかったので、わざわざ呼び戻しに来たらしかった。

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