【店側としてはおまけや値引きはしたくないから強要は無し】
【店側としてはおまけや値引きはしたくないから強要は無し】
「麻島ぁ、このキュウリとナスさ両方買うから安くしてくんね?」
迫が手招きし、ひとやまいくらのそれらを指差していた。タカシが近づき、手に取り、損得勘定計算を頭のなかでした。どんぶり勘定だけでやっていけるはずもない。
「あー? ……550円かな」
「ケチくせー。そんだけしかまけらんねーの?」
「こっちも商売だからな」
「ちぇー」
眉をひそめながらも迫が千円札を財布から1枚抜くと、その横におつりを乗せた手のひらを突き出す魔王がいたのでそれと交換した。タカシは手早くビニル袋にお買い上げのそれらを入れ、それからさっと商品の値踏みし検討した上でオクラをおまけした。
「サンキュー。お前ってツンデレ?」
「変な言葉使ってんじゃねーよ」
萌えだの何だのと一緒にされて心外だ、という顔を見せるタカシにミツルと魔王はにやにやと気持ちの悪い笑みを向けていた。それに気づき、タカシがひとにらみするとさっと逃げた。
「じゃ、俺らはこれで」
「またなんか買いに来るわ」
「どーもーありゃっとしたァ」
タカシや魔王達に見送られ、丹下と迫がビニル袋のなかを見ながらふらふらと店から離れていった。それに続くようにアンナがミツルを引っ張り、急かし始めた。そろそろデートの続きと行きたいのだ。
「じゃ、また学校で」
「おう。生きて帰れよ」
冗談のつもりでタカシがそう励ますと、ふっとミツルが微笑んで見せた。
「たぶん大丈夫だから」
それだけタカシと魔王に告げて、ミツルはアンナに引きずられていった。
―――多分なのか。
生存が断定出来ないデートの想像がつかず、タカシと魔王はなまぬるい視線でミツルとアンナを見送ることにした。それ以外に何もしようとはせず、また出来なかった。




