【目を凝らしても行く末は見通せない】
【目を凝らしても行く末は見通せない】
「じゃが、タカシは続けていくんじゃろう?」
「まぁな」
魔王に応答しつつタカシは肩をぐるぐると回してから、自らの肩を揉みつつ首を鳴らした。立って話していただけだが、身体の重心がなっていないと案外疲れるものだ。
「今んとこは何とか食ってけるが、その状況に甘んじちゃいけねーしな」
「いっそ潰して駐車場かコンビニにすれば良かろう。金があるならビルでも建ててテナントか家賃収入を狙え」
「シビアだな」
そういった話はよく聞くが、生活がそれで良くなるという保証は誰もしてくれない。企業と提携して、コンビニを営業してもその名前の使用料が取られるらしいと魔王に説明した。
「それ以前にタカシには金儲けの才能が無さそうじゃのぅ」
「うるせーよ」
痛いところをつかれ、タカシは苦しまぎれに強がってみせた。自覚はしていたらしく、またその方面の才能ならばミツルの方があった。
「何故そうまでして続ける? 父親に店を守ってくれ、とでも頼まれたか」
ふいにタカシの動きが止まり、魔王の方をゆっくりと顔を向けた。魔王の表情はいたって涼しげなものだった。
「……。ミツルか」
「かもしれんのぅ」
魔王はわかりやすく庇護したが、タカシは別に何も言ってこなかった。少しばかり拍子抜けしたのぅ、などと勝手なことを魔王が思っていると、タカシが何か言いかけた。
「聞こえんぞ」
「いや。……いい」
歯切れの悪さを魔王が気にし、とりあえず後ろからタカシを蹴り上げた。おぅッと驚きと悲鳴の混じる声をあげると、店の奥からちょうど出てきたミカコと通行人の注目を浴びることとなった。
「くくっ」
この視線のなかではタカシはこぶしをふりあげることも出来ず、ただ歯ぎしりして魔王をにらむだけとなった。そんな硬直状態のなか、笑うミカコが魔王を昼食に呼んだ。土日の昼飯は空いている時間に交代で取るのだ。
「愉快痛快爽快欣快」
けたけたと笑う魔王にタカシは「あとでおぼえてろよっ」と小さくうなり、叫ぶしかなかった。




