【エプロンデビュー】
【エプロンデビュー】
「意外と現金だよね、タカシって」
「うるせーよ」
ミツルは学生服のまま後ろ手でエプロンのヒモをきゅっと縛り、支度をする。アンナも同様に制服にエプロン姿となり、「なんかミツルの若奥様みたいだぁぁあぁぁぁあぁあっ!」と喜んでいる。
「でも、正直萌えないよね」
「もとがアレだからな」
男2人が正直にものを告白すると、ショックを受けたアンナがふくれた。そんなのでも、魔王は「ワシは何を着ても似合う」とさりげに同性と勇者への対抗意識を見せていた。
「で、何すりゃいーの」
「お前はその愛想で接客つーか売り子、アンナは魔王と引かれないような客引き頼む」
魔王とアンナが引かれないようにとはなんじゃ、この魅力に惹かれて今まで客が云々と叫んでいる。魔王と勇者は天敵だというのに、しっかりと意気投合している。
「あれ、てことは会計とかも任されちゃっていいのか?」
「あぁ。任せた」
タカシがミツルに値引きの交渉やパーセンテージなどの細かい要領を簡単に説明し、扱いに文句を言うアンナと魔王を店の外へと突き出した。
「おぬしには魔王を見る目がないのじゃあっ」
「ミツルがやるなら私もやりたいぃぃいいぃいっ!」
「お前らにしか出来ない仕事だから頼んだんだが……」
ふぅとひとつため息を吐いたタカシがそっと魔王とアンナから離れると、その2人が顔を見合わせた。それからアンナはミツルの方を見ると、にっこりと微笑み返してくれた。
「わ、私はやるぞぉぉぉおおぉおおっ!」
「ふむ。確かに粗暴なタカシでは客が逃げてしまうからのぅ。店のためにもここはワシが一肌脱いでやろう」
「な……っ、ま、負けるかぁあっ!」
魔王の言葉を勘違いしたアンナが恥ずかしそうに、おそるおそる制服とエプロンを脱ぎだそうとするのを周りがとめた。確かにそれは別の意味での客引きにはなるかもしれないが、客がドン引きしてしまう。




