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【毎度思うんじゃが】

 【毎度思うんじゃが】

 「あのチャイムとやらはタイミング良く鳴りすぎではないか?」

 「これでも読めるんだろ」

 些細な疑問を口にする魔王に、タカシはノートの切れ端を放り投げた。くしゃくしゃに丸められたそれを、魔王は少し浮かれた気持ちで広げて見た。

 「……流行っとるのか?」

 タカシから渡されたそれには乱雑な字で『空気』と書かれていた。


 【9月10日の放課後に】

 「やはり授業とは退屈なものじゃのぅ」

 魔王がすべてを悟ったようにつぶやく。

 ―――まぁ、言うだけあってよく出来るんだよな。

 学校成績の悪いタカシが(うらや)んでいるわけではないが、魔王の知能は確かに相当のものだった。転入初日にタカシから借りた教科書を一目見ただけで丸暗記し、一言一句間違えることなく朗読出来る記憶力は賞賛に値した。日本語を3日ほどで完璧に使いこなせていたのだから、記憶力にとどまらない応用力も大したものだといえた。

 「今日はさっさと帰ってミカコの手伝いでもするか」

 「毎日やれよ、居候」

 「勉学、部活、課外活動、華の学生生活は何かと忙しいのじゃ」

 「嘘つけ」

 「陸上部入る気になりましたかっ、魔王先輩」

 ハヤミがこれ以上ないというタイミングで教室に飛び込んでくるが、それを無視してタカシと魔王はすれ違うように出ていった。その後を追うようにミツルとアンナも同じようにハヤミを無視して続くのだった。

 「負けませんよぉ、魔王先輩!」

 完全に無視されたハヤミがぐっと握りこぶしを固め、そう決意した。しかし、それさえ誰も聞いていないのだった。

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