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【結局】

 【結局】

 「タカシの父親が一方的におかしいだけなんじゃな」

 「まぁ、そうなるのかな……」

 「決めつけは良くないぞぉおっ!」

 アンナが注意するが、今回は分が悪かった。

 「おかしくないというなら、何故書き置きや伝言を残さぬ。幼いタカシのことを考えれば、何か思うところもあるじゃろう」

 「うぅ……っ!」

 「ま、それはそうなんだよな」

 男子は父親の背を見て育つといったりするが、タカシはそれがひどく不安定なものだった。片親さえいない境遇の子供と比べれば、まだ良かった方なのかもしれない。それでも特に心身を形成する大事な時から、タカシは置いていかれるようになった。

 「……少しだけ、タカシの気持ちがわかるやもしれぬ」

 魔王はそれだけ一言、ぽつりと漏らした。ミツルとアンナは目をむいた。そういえば、魔王の祖父については聞いていたが両親については謎のままだった。

 「ま、今となってはどうでもいいことじゃがのぅ」

 「どっちなんだぁあっ!」

 思わずアンナがツッコむが、魔王は無視して再び歩き始めた。

 「もうよい。機をうかがい、ミカコかタカシにまた聞いてみることにする」

 そう言って先へどんどん進む魔王をアンナの力で引き止めさせ、ミツルが呼びかけた。

 「最後に言っとく」

 アンナに押さえ込まれ、動けない魔王がちらりとミツルの方を見た。

 「タカシとミカコさんはこれからも何もしない。たぶん、ずっと待ち続ける」

 毎年、全国からどれほどの行方不明者が出ていることか。警察に捜索願を出したところで、見つかるとも限らない。むしろ、捜さない方が互いに幸せなことだってあるだろう。

 「どんなに唐突に帰ってきても、あの2人は何事も無かったように受け入れると思う」

 それがあの家族だから、と繋げるミツルはむっとしている魔王へ更に笑いかける。

 「大丈夫。タカシの父親が帰ってきても、魔王さんの場所がなくなることなんてないよ」

 魔王がふんと肩に力をいれると、つかまえていたアンナが振り飛ばされた。それでもめげずに立ち向かおうとするアンナを、ミツルは止めた。

 「何を言うかと思えば、おかしな男じゃ」

 「ミツルはおかしくないぞぉぉぉおぉぉおぉっ!」

 アンナをどうどうと抑えつつ、ミツルはふっと微笑んだ。魔王は会釈も振り向きもせず、そのまま麻島青果店に帰っていった。

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