【逃げ場が無ければ跳べば良いじゃない】
【逃げ場が無ければ跳べば良いじゃない】
賭けたクラスメイトは不満のまま、午後の授業は終わり、放課後を迎える。ミツルが「一緒に帰るか?」とタカシと魔王を誘った。
「おれは用がある」
「ん……生徒会長様か?」
「罰則」
タカシは適当に手を振り、さっさと行ってしまった。ミツルは両手を腰に当て、それを見送った。
「で、魔王さんは?」
「ワシの傍を歩けることを光栄に思え。甲藤」
魔王の素直ではない返答にも慣れ、ミツルは「それじゃ、アンナを迎えに行くか」とうながした。
「ミツルゥゥゥウウゥゥウッ! 一緒に帰るぞぉぉおおぉぉぉおおおっ!」
「魔王先輩ーっ、陸上部どうっすかねー?」
教室にある前後の扉から飛び込むようにして、騒がしくアンナとハヤミが入ってきた。更に敬い隊がやって来たようで、廊下が一段と騒がしい。
「逃げるか」
「そうしようか」
魔王とミツルの思考が一致したが、肝心の出口がふさがれている。どう切り抜けてみようかとミツルが考えていると、魔王が襟をつかんだ。
「は?」
「道は開かれておるぞ。何を考える必要がある」
そう言って魔王はミツルを引きずり、廊下とは反対側へ歩いていく。その先にあるのは窓しかない。
「……冗談でしょ」
「たまには良かろう」
熱烈な出迎えがなだれ込んだ。そのなかでもアンナが誰よりも早く、必死に追いすがった。ハヤミよりも近かったこともあっただろう。何とかミツルの腰元にしがみつくことが出来た。
「ワシがいれば平気じゃ」
「あ……」
「うぉおっ!」
魔王は2人を肩に担いで、窓から跳んだ。クラスにいる誰もが、その一挙一動を止めることが出来なかった。声ひとつあげられなかったのだ。




