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【食事中だったか?】

 【食事中だったか?】

 「いーや、食い終わってた」

 「そうか。なら、いい」

 昼休みの生徒会室にはカオルの他に誰もおらず、タカシと2人きりだった。生徒会長の机には書類が積まれており、カオルは椅子に座ってそれらをひとつひとつ眺めている。

 「人払いでもしたのか」

 「そういうことになるな。一応、内密な話だ」

 カオルは書類を見続け、顔を上げない。タカシは部屋の内装をぼーっと眺めている。

 「魔王の処断だが」

 「ああ。どーなった?」

 豊泉院会長の采配、そしてその実力でどうくるかと楽しみな反面恐ろしくもあった。ただこれまでの話の流れだと、悪い方へはいかなかったようだ。


 【タカシと魔王の同棲疑惑をどうしたか】

 「魔王をヨーロッパからの留学生に、そして遠縁である麻島タカシ家を頼ってのホームステイをさせていることで教職員達を認めさせた」

 「おいおい、えらく無難っつーか……広まってる噂話そのものじゃねぇのか?」

 カオルは軽く頷き、タカシを見上げるように顔をあげた。

 「違うのはこの問題を学校側が認めたということ。そう魔王は別次元から来たなどという超常的なものではなく、誰もが納得する故郷を設定したという点だ」

 このお膳立てで魔王とタカシの家族が一つ屋根の下で生活してもいいような状況にした。更に血縁関係に留学生でホームステイという設定は若い男女の間違いが起きない、ということを印象付ける。

 「ホームステイという状況そのものがそもそも異質だからな。何か日常や学校生活において不自然な点が見られても、留学してきたということで大目に見られることもある」

 噂話では魔王はタカシの母方の叔母の娘の父方の祖父の孫娘の一人娘で身寄りが亡くなってしまった帰国子女ということらしい。今回の処断に関して言えば、新たな捏造にも辻褄合わせにも実に都合が良いものだった。

 「少し調べたのだが、この斗葉高校に転入をする際の魔王がした手続きにおいてもそのようなことになっていた」

 「そのようなことって……」

 「つまり、今回の件は麻島タカシや私よりも先を見越した魔王の思惑通りにことが進んだものと見ていいだろう」

 当然といえば当然の、唐突といえば唐突の事実をカオルから聞くと、タカシは自らのこぶしとこぶしを叩き合わせた。本当に魔王は何も話さない。

 「ホームステイだけに限らないが、このような状況は互いの信用が第一となる。話やその行動を聞く限りだと、魔王はまだ信用ならないようだ」

 勿論、タカシが魔王に対して変な気でも起こせばすべてが台無しになる。それを推し進めたカオルの立場も揺るがされるだろう。

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