【激闘の末】
【激闘の末】
なんとか昨日の後始末を終え、鍵を生徒会室に戻したのは8時20分過ぎだった。セイに無言でにらまれ、カオルに「この調子で放課後も頼む」と言われ、シイノに「がんばってください」とはげまされた。どれが一番堪えたかは言うまでもない。
―――そういや、あと1人いた気がしたが……いたか?
タカシは首を傾げたが、わからないのなら無理に思い出すこともないかという結論に達したようだ。それよりも朝置いてきた魔王の方が気になっているようだ。
「面倒なこと起こしてなきゃいいが」
こういう予感に限ってよく当たるものであり、それが常識とさえ思えるから不思議だった。
【で、教室に来てみたら】
「早く出たというのに遅かったのぅ。タカシ」
「魔王様……ハァハァ」
「ゼェゼェ……魔王様」
「で、なんだこの気持ち悪ィ連中は」
タカシは来たばかりの教室を今すぐにでも立ち去りたくなった。魔王の席を中心に異様な密度で人が群がっているからだ。
「キサマ、魔王様を侮辱するかっ」
「許さんぞ、魔王様への侮辱はわれらの侮辱」
「いや、侮辱したのはお前らなんだが……」
いつの間にかすりかえられ、タカシを攻撃対象と見なした集団が各々ポーズを決め始める。それにしてもノリノリだ。
「われらは可憐で妖艶なる魔王様に賛同する者」
「共に世界をわが手に」
「必ずや導きましょう。われらは全力で尽くします」
「そう、我ら」
「魔王様を敬い隊!」
「うるせーよ」
タカシが決めポーズも決めゼリフも一蹴すると、魔王様敬い隊を押しのけて自分の席に座った。そのまだ周りで何かわめいている。
「おのれっ、キサマは何なんだ」
「魔王様の席の前とは羨ましいやつめ! ハァハァ」
「われらを甘く見ると痛い目遭うかもよ! ゼェハァ」
「成敗してくれるかっ」
「他人任せかよ」
的確なツッコミに魔王を敬い隊ひるんだその時、武島イズシ教師が始業と同時に入ってきた。
「授業を始める。関係の無い生徒は出て行くように」
「くっ、おぼえてろよ!」
「ハァハァ……われらは何度でもここに立ち寄るだろう。うざいと言われようが慣れてるからなっ」
「自覚してんだな」
「うっせーやーい。こんの不良めぇ……ゼェゼェ」
「早く出て行きなさい。始業時間はとうに過ぎている」
イズシ教師ににらまれ、ずこずこと退場していく魔王様を敬い隊を見て、ミツルがにやにやしている。他人事だと思ってまた面白がっているのかと、タカシは眉をひそめた。




