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【似合わない冗談はやめろ】

 【似合わない冗談はやめろ】

 「本当にそんな話が通じるとでも思っているのか」

 「思わねーよ」

 タカシは大真面目で、現在の魔王の状況と保有する力についてすべて教えてやった。ただ魔王の故郷である次元名は忘れてしまったので、曖昧にしてしまったが問題ないはずだ。

 「本気か」

 「マジだ」

 カオルはタカシの眼を覗き込み、その真実をつかみ取ろうとする。嘘をついているとすれば同棲という事実をうやむやにしたいタカシか、タカシに嘘を吹き込み信じ込ませた魔王かのどちらかだ。

 「……」

 「……」

 たっぷり1分はにらみあっただろうか。ふっとカオルが微笑み、目をそらした。

 「どうやら嘘はついていないようだな」

 「当たり前だ。こんなくだらねぇ嘘つくか」

 「単に嘘を思いつけないだけかもしれんが……」

 真剣にそう思いだすカオルにタカシは「オイ」とツッコミをいれた。

 「では、あとは魔王本人に確かめるとしよう」

 「……それで? 本当だったらどうする気だ」

 「後日、適切な処置を取らせてもらう」

 カオルの応答には迷いがなかった。タカシはもうどうにもならないという、自分自身の無力さを感じ取る。

 「さて、早速会いに行くとするか」

 「会うって……魔王にか」

 「他に誰がいる」

 カオルは更に「麻島タカシの自宅に行けば会えるか」と訊いてきた。

 「いや、確か……今日は陸上部の見学に行ってるとか言ってたな」

 「丁度いい。まだ陸上部は活動しているようだから、下校を勧めてこよう」

 そう決めると、カオルは再び歩き始める。タカシがその後をのんびりついていくと、カオルは減速し、タカシのスピードに合わせてきた。

 「んだよ」

 「どうせそこまでだ」

 「……離れて歩けよな」

 「私と並んで歩くのは嫌か?」

 確信犯だろうカオルに、タカシはお手上げだ。どうもこの手の人種が集まる星の下に生まれてきたらしい。

 「どちらかっつーとな」

 「そうか」

 カオルは意外という顔もせず、それを素直に受け入れたようだ。しかし、一向に離れて歩く気配は無い。腕を組んだり、手を繋いだりすることもない。ただ、並んで歩いているだけだ。

 ―――……疲れる。

 一歩進むごとに体力が抜け、精神が磨り減っていきそうだった。あの傍若無人な魔王ですら、カオルが保持する勇者のなかの勇者というスペックの所為で耐え切れないのだ。豊泉院会長と平常心かつ無心に歩ける者など、この次元にはいないだろう。

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