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【ァルデピマジュムィダ】

 【ァルデピマジュムィダ】

 家出少女は未だ立ち上がれないタカシを見下し、話し始めた。

 「ワシのァルデピマジュムィダには2つの種族がいた。ワシら一族とその他の平民共。魔王とはワシら一族の頂点に立ち、平民を統べる者の名じゃ」

 「なに、何だ、もう一度言ってみろ……」

 「ァルデピマジュムィダ。ワシが元いた国の名、またはその次元の全てじゃ」

 タカシはその身体をぐぐっと起こそうとするが、腕に力が入らない。魔王はそれを愉快そうに眺めつつ、話を続けた。

 「魔王は一族を代表してァルデピマジュムィダに住まう平民共と広い次元すべてを支配し、それらのエネルギーを魔王たる者の(なか)に徴収する。そして、魔王は自らの器に溜まったエネルギーを眷族に分け与える。一族は平民のエネルギーを(かて)としている為、平民なくして生きることは出来ぬ。故に魔王はその絶対的な力を使い、次元や平民共を流行り病をはじめとする災害から護るのじゃ。まさに持ちつ持たれつの関係」

 「ふざけんな。平民は飼い殺しみてぇなもんじゃねぇかよ」

 タカシは膝を立て、何とか身体を起こすと魔王は微笑んだ。その笑みは馬鹿にしてるというより、嬉しそうなものだった。

 「そんなことはない。ァルデピマジュムィダ中の平民共から毎日のように徴収するのじゃ。1人1人の負担は呼吸による疲労と等しい。ま、大規模な災害で魔王の力を酷使すれば徴収もだいぶ派手になるがの」

 「今、おれの身体に力がはいんねぇのもそのせいかよ……!」

 「ふむ。まぁそうじゃ」

 あっさりとそのことを魔王は肯定する。

 「この甘いものをよこさぬというから、少々イジワルもしておる」

 魔王は天井に刺さったアイスの棒を上目づかいで見ながら、人差し指で自らの前髪をくるくると回した。段々、話すことに飽きてきたのかもしれない。

 「今の状況を見てみぃ。ワシはざぶとんとやらを山ほど所持し、タカシは1枚も分けてもらえぬ立ち位置におる。この場を見れば、力関係は一目瞭然っ」

 ぎゅっと握りこぶしを固め、魔王は力説する。それからズビシと力なくあぐら座りをしているタカシに向けて指を突きつけ、言ってのけた。

 「すなわち、ざぶとんをすべて所持するワシはこの部屋の主であり支配者同然。じゃから、ワシ以外の平民からなら好きにエネルギーを徴収出来るというわけじゃ」

 「ぐ……」

 身勝手な理論に反撃しようとタカシは魔王からざぶとんを取ろうとするが、またしても指一本でそれを阻まれる。

 「支配している空間において、魔王は絶対的存在。思うままにその力を振るうことも出来るのじゃ」

 魔王がくふふふふと不気味に、愉快そうに笑う。タカシは不快そうに、再び倒れそうになるのを堪えた。

 「……タカシは平民のくせに、勇者でもないのになかなか面白いぞ」

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