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「今の話と関係があるんですけどね。どうも奥様方からもこの一件で苦情が出てるそうなんですよ」

「ほう! それで?」

「誰かは分かりませんが、車から見られたんでしょうね。目障めざわりだから奥様会が清掃業者を手配したそうなんですよ。それって、お届けが必要なんざまぁ~すか? ということだそうです」

「なんだ、人騒がせな! 届けなどいる訳ないじゃないか! 勝手にやらせとけっ!」

 普段は滅多と怒らない昆布こぶ巡査だったが、このときばかりは声を荒げた。

「いや、昆布さん。あの連中は無視できませんよ。この前なんか、内閣の危機管理室のお役人から電話があったでしょ?」

 藻屑もくずが息巻いて言った。

「ああ…そういや、そんなこともあったかなあ」

 過去を思い出したからか、怒っていた昆布の顔が急にしょぼくなった。

「もし今度、電話があったら、適当に言っといてくれ。俺は苦手なんだよ、あの連中は」

「直接、来られたら、どうするんです?」

「そのときは、そのときさ。ははは…」

 昆布は自信がないのか、寂しく笑った。

「まあ、考えようによっては、街が綺麗きれいになるんだから、いいじゃないか」

「はあ、それはそうなんですがね」

 二人は無理に自分達を納得させて笑った。結局、この街で、奥様会の存在はあなどれないということになる。

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