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 その日の夜半、城水の家から少し離れた山地に着陸していたUFO編隊の一部は、分散しながら飛び始めた。その姿を人間は視界に入れることはできず、シールドされた機影がレーダー網で追尾ついびされる訳もなかった。その目的を城水は当然、知らない。知らされていないのは、城水に動揺を与えないよう・・という編隊指令の配慮である。その一部のUFOは山地伝いの別の場所へ集結し、密かに掘削くっさくを開始した。各UFOの前方部から照射された光線により、瞬く間に山地の樹木や地面は消滅していった。掘削されれば土や樹木が辺りに散乱するのが一般的だ。だが、その痕跡はまったく見えず、それまであった物質が跡片もなく消え去ったのである。その方向は城水の家前にある坂の下へと向かっていた。ポッカリと開いた山地の穴の中へUFOは少しずつ消えていった。早い話、UFOによるトンネル工事である。だが、騒音などは一切せず、静寂だけが深夜の山地をおおっていた。その目的が指令から城水にテレパシーで送られたのは、二日後、掘削が完成した後である。坂下への出口には階段状の通路がもうけられ、マンホールから出られる構造に工作されていた。瞬時に完成されたその技法は、人間には不可能な高等文明のなせるわざだった。そんな大ごとが起きていることなど露ほども知らず、城水はすっかり疲れ切り、深い眠りの中にいた。公私ともようやく世間の生活に溶け込めるようになり帰宅した深夜だった。

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