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 大聖たいせい小学校、四年二組の教室である。教師の城水しろみず鳥雄は黒板に白チョークで[四捨五入して、千の位までのがい数で表しましょう]と書き、その下に、

[1]3546219 [2]168275

[3]268723 [4]25463

 と書き終えた。

「[1]の答えが分かる人!」

「は~~い、先生!」

「おお! なかなか、いい返事だ、到真とうま

到真は先生にめられたものだから少し自慢げに皆を見回し、したり顔をした。女子に人気があるそのイケメン顔を城水は見逃さなかった。

「答えが合ってからだろ、自慢するのは」

 しまった! と到真は頭を掻いた。一斉いっせいにドッと笑いが起きた。バツが悪そうに到真は立ち上がった。女子に格好をつけたつもりが、とんだ空振りの三振だ。

「354万6000です…」

 到真は気を取り直し格好よく言ったが、その声は少し弱かった。

「ははは…元気がないぞ。さっきの勢いはどうした! 到真。…まあ、正解だがな」

 そのとき、授業終了のチャイムが鳴り響いた。

「よし! 今日はこれまで! ははは…昼だ昼だっ! あとの問題は、明日までにやっておくように!」

 実のところ、城水は内心で、こんな問題は出来ても出来んでも、どっちでもいいんだ…と思っていた。自分の子供時代の成績を思い返せば、2ばかりが目立ち、さっぱりだったからである。それが、今ではどうだ! 曲がりなりにも大学を卒業し、立派に教壇に立っているではないか。城水には問題の正解など、どうでもよかったのだ。それよか、朝が食パン1枚だったせいで、腹が減って仕方がなかった。結果、つい本音ほんねが生徒達に出た、という訳だ。よくよく考えれば、小食が中年太りをおさえる・・というメリットもあり、どっちもどっちだな…と城水には思えた。

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