異世界にいた!
だーれが一話のみの投稿と言いましたか? 言ってません!!
今回は今年最後、そして不定期にしている申し訳なさで二話同時投稿です。
猫又の発言に俺は固まった。
どうして、こうなった? 本当に何が起きてる?
俺はただ、普通に高校生活を送っていただけだぞ?
それがどうして、こんな事になっている……分からない……。
そう思っていると猫又が聞いて来た。
「あの、すみません。お名前を聞いてもよろしいでしょうか? いつまでも、あなたはちょっと……」
「あぁ、安藤架衣だ……」
「へぇ~、珍しい名前ですね。遅れましたが、初めまして私はシャル・アルメです。よろしくお願いしますね。安藤さん」
「あぁ……」
俺はどうしたら良い? 何故、こうなった? 帰れるのか?
架衣はアルメの挨拶よりも、今何が起きたているのかさっぱり分からなく頭に入らない。
「安藤さん? どうしたんですか? どこか痛みますか?」
いつの間にかアルメは架衣の顔を覗きこみながら心配していた。
そんなアルメに架衣は出来るだけ笑顔で答える。
「ん? ああ、大丈夫だよ?」
架衣は思った。
分からない事を考えても無駄だ……。それよりも今は現状を理解する事が大事だな。
その後に色々考えれば良い。だから、今は今の現状を理解して行動しよう。
ふぅ……、久々に取り乱したなー。まぁ、無理もないけど。
色々ありすぎて何から、理解しようか迷ったがまず、この世界についてちゃんと聞こう。
架衣はそう思い、冷静になる。
「アルメさん」
「はい? 何でしょう?」
「この世界について教えてくれるかな?」
「はい、構いませんけど……、安藤さんも知ってる事だと思いますよ?」
アルメの発言に架衣は違和感を感じた。
「? いや、俺はこの世界の事を全く知らないぞ?」
「え? まさか、安藤さん……!!」
アルメの顔が真剣になる。
何かまずい事でも言ったのかと架衣は思い息を飲んだ。
「記憶喪失……?」
力が抜けた。何を言うのかと構えたらこれだった。
記憶喪失……架衣はアルメの発言に脱力しながら戸惑う。
「いや……、記憶喪失では無い。それにアルブルネって初めて聞いたし……」
「えっと……、記憶喪失じゃ無いとすると……」
アルメは深く考え、何か分かったのか架衣の方へ向く。
「……、わかりません♪」
「分からんのかい!!」
思わず架衣はツッコミを入れてしまった。
「な……なら、種族を教えて下さい。話では一部の地位域では、勉強などが進んで無いんですよ」
少し焦りながらアルメは言った。
種族的な事ならと思い、架衣は、
「俺は人間だ」
架衣の発言にアルメは(・_・)みたいな顔をしている。
素直に答える架衣である。
「え? 聞き間違い? 安藤さんは種族は何ですか?」
何かの聞き間違いかと思い、もう一度アルメは架衣に聞き直す。
ん? なんだ、ちゃんと聞こえなかったのか。と架衣は思い、
「俺は人間だが?」
もう一度言い直した。 すると、アルメは架衣に近付く。
「え? 何で人間がここの世界にいるの?」
「いや……、気づいたら森に居て、魔物?だっけ? それに襲われて、後はまぁ……こんな感じ……」
架衣の発言にアルメさんは顔を伏せながら黙っている。
何か変な事でも言ってしまったのだろうか?と心配になる架衣。
「……た」
「え? 何?」
アルメが小さく呟く様に何かを言ったが架衣は聞き取れず、聞き直す。
聞き直した瞬間、アルメは顔を上げた。
「私……! 初めて人間を見た!!」
そこからは目がキラキラ輝かせながら、宝石を見るように架衣を見ていた。
アルメの反応にどうすれば言いのか分からず、架衣は困る。
「へぇー!! 私達とあまり変わらないんだ」
フムフムとアルメが一人で納得していた。
興味津々の為か、ものすごくアルメが近くにいる。
アルメさんの顔が近い……それに良い匂いが……。
と思いながらもこの状況に耐えられなくなり、
「ア、アルメさん、近い……」
「え? ああ! ごめんね」
そう言ってアルメは少し離れる。
そしてアルメはコホンと軽く咳払いをする。
「確かに、人間は……いや、安藤さんは知らないよね」
「ああ、右も左も分からない状態だ」
「うんじゃあ、教えるねこの世界の事」
「ああ、頼む」
架衣はアルメに言う。架衣の発言を聞いて微笑むアルメ。
「はい。では、この世界はレコムウンド。そこは教えましたね?」
「ああ、覚えているよ」
「では、本題です」
アルメはベッドの近くにあったカバンの中から地図を取り出し、架衣の目の前に広げる。
「この世界は魔族・天使・精霊・獣人によって作られてます。各種族は東西南北地方によって別れてます。東から南東は私達のような獣人が住んでいて、西から南西は精霊、南が魔族、最後に天使です」
「ん? そうなると天使はどこに住んでるんだ?」
架衣が聞くとアルメは指で上を指した。
「え? まさか」
「ええ、上に住んでます」
「なるほど」
架衣は頷く。いや、頷く事しか出来なかった。
なぜなら……。
なるほど、わからん状態だった。少しは分かったんだ、だが、覚えきれん……。
そう思いながら笑顔のアルメに笑顔で返す架衣。
仕方ないだろう、いきなりこのレコムウンド に飛ばされて混乱してるんだし、これでも覚えようとはしているぞ。うん、キャパシティ・オーバーだけど……。
誰かに話している訳でも無く、自分に言い聞かせる様に心の中で思う架衣であった。
そんな事を思っているとアルメは説明を続けた。
「それと各地方に大きな街があるんです。後、学園があります。大体そこに色んな種族達に会えます」
「そうか……、この世界は学園があるのか、まぁ分かったよ。 ありがとう」
うむ、学園があるのだけは分かった。それだけでも収穫だし、後で勉強すれば良いと思う架衣である。
「そうですか、それはよかったです」
笑顔でアルメさんは言う、それを見て俺は思った。
え? 何で分からないのに聞かない?だって? オイ……、あんなに頑張って教えてくれたのに「あ、ごめん 分からない」なんて言えないだろう。
だから、後で自分で調べれば良いんだ、調べられる場所があるならな……。
そんな事を思っていると、架衣はふと思いアルメに言った。
「アルメさん、俺その大きな街に行こうと思う。どう行くのか教えてくれないかな?」
学園があるなら、大きな街があってもおかしく無いと思った架衣はアルメに言う。
それを聞いたアルメはベッドに身を乗り出す。
「ダメだよ! また魔物に襲われちゃうよ!?」
確かにまた魔物に襲われるだろう、この世界では架衣は弱者の立場であるから。
それは分かってる……。 けど……!
「俺は行かないと……! どうして、俺がこの世界にいるのか知りたいんだ!!」
「けど……」
さすがのアルメも架衣一人にして行かせる訳にはいかず、悩む。
悩む時間が辺りを静寂にさせた。
「なら、シャル。お主が付いていれば問題はないじゃろ?」
突然横から話をかけられる。
声が聞こえた方を見るとアルメの部屋の前に、見知らぬお婆さんが立っていた。
つづく
ここからが不定期になるかと思います。
また、この様に二話同時投稿などがあったりもしますのですみませんが、これからも末永くお付き合いしてください。
では、この辺で!