アップルパイ
久しぶりの投稿です☆
今回は、のほほ~ん♪
製菓室にはいい香りが漂っていた。ティラミスがチェリーパイを焼いているのだ。しかし、チェリーとは違う匂いがする。
「ティラミス。ガナッシュを見なかった?」
応接室を通り、製菓室に足を踏み入れたタルトは、鼻歌を歌っているティラミスに尋ねた。
「見てないよー。でもさっきミルちゃんが物置に入っていったから、そこにいるのかも」
ティラミスはオーブンの温度を確かめながら言った。
「あ、でも」
製菓室を出て行こうとするタルトの背中に、ティラミスは言う。
「今は行かない方がいいかもね。中でグズグズ言ってたから。ガナッシュが嫌かも」
その言葉を聞いて、タルトは足を止めた。そして、そのままティラミスの元へ引き返す。
「チェリーパイはうまく焼けそうかしら?」
「ええ、もちろんよ! 私の技術に狂いはないわ! あ、でもねチェリーパイはやめにしたの」
タルトは首を傾げると、ティラミスに尋ねる。
「なぜ?」
「なんかねー、ミルちゃんがガナッシュはさくらんぼ食べれないから、アップルパイにしてやってくれないかって、頼まれたの」
「……そう」
タルトは近くの椅子に腰を下ろした。ティラミスは続ける。
「ガナッシュとミルちゃんって、実は仲良しだよね。何で学校では仲悪いの?」
「Poison chocolatの存在を隠すために、仲悪いふりをしているそうだけど」
「それって……意味ある?」
首を傾げながら尋ねるティラミスに、タルトは意味ありげな笑みをおくる。
「怪しいわね」
タルトの答えに、気まずい沈黙が製菓室に舞い降りる。
リリリリ……
オーブンが鳴った。ティラミスがそっと開けると、中からはアップルパイの甘い香りが漂ってくる。
「紅茶をいれましょうか」
タルトが座っていた椅子から腰をあげた。
「アップルパイは焼けたのー?」
そのとき、ミルフィーユが製菓室に戻ってきた。その後ろには、いつものように毅然とした様子のガナッシュが立っている。
『いつものPoison Chocolatね』
タルトは心の中で呟くと、こっそりと微笑んだ。
「タルト、冷めないうちに食べましょう!」
早くもテーブルで騒いでいるティラミス肯くと、タルトは紅茶のカップがのったトレーを持ち上げ、テーブルに向って歩き出した。
疲れた……。
ミルクに睨まれながら必死に書いた甲斐あったでしょうか……?