第1-21話 ファイヤーライトって、何だ!?
「あ、待って。わざわざmod文を使う事も無いわね。要はフロギストンとオキシジェンを2:1で作ればいいんだから…」
アゲハは更に術式を改造する。
for i=1 to imax
call randomball(a,position,rmax,imax,i,r,theta,phi)
call createcluster(a,phlogiston,mole*nmax,position,r,theta,phi)
call createcluster(a,phlogiston,mole*nmax,position,r,theta,phi)
call createcluster(a,oxygen,mole*nmax,position,r,theta,phi)
:
next i
「よし…ラン、ファイヤーライト!!」
ボン!!「きゃっ!!」 杖の先から原因不明の爆発が起き、アゲハは悲鳴を上げた。
「な、何よぉ!?折角上手く動いてたのにぃ…」
こうなったらさっきの『ファイヤーライト』を取っておくべきだった。
「さっきは頭痛で、今度は爆発って一体何!?」
訳が分からない。やっぱりアゲハ1人では無理だ。そう思ったその時、
「………アゲハ!?」
声がした。そこにはいつの間にいたのか、
「ロクスケ………!?」
それは、アゲハの今の問題を解決できるたった1人の存在。だが…
「き、奇遇ね。こんな所で会うなんて…それじゃ…」
同時にアゲハが今やろうとしている事を彼に知られるわけにも行かなかった。
「待てよ、アゲハ…」
ロクスケは去ろうとするアゲハを呼び止める。
「な、何よ…」
「今の爆発は、何だ!?」
「…ワイバーンバリスタの方よ、大方カモメでも見間違えて誤射したんじゃないの!?、じゃあね…」
我ながらこれで言い含められるとは思えなかったが、この場をやり過ごさないと…だがロクスケは更に畳みかける。
「もっと近かったし、それでもあんな音はしないぞ。それじゃあ…『ファイヤーライト』って、何だ!?」
「………」
全部、聞かれていたらしい。アゲハは観念した。
「あ、あのねロクスケ………怒らないで聞いて欲しいんだけど………」
※ ※ ※
「………俺の『ファイヤーボール』の、改造ね………」
アゲハのこれまでの経緯を無表情で聞いていたロクスケ。
「ごめんなさい…勝手な事して…」
キンダーガーデンで花瓶を割った児童の様に頭を垂れるアゲハ。だがロクスケは、
「爆発が起きたという事は、想定外の量の元素を生成しようとしてパンクした可能性があるぞ。そうなる前に、一体、何を変えた!?」
特にアゲハを咎めるでも無く、そう言った。
「え…modで3回に1回オキシジェンを作ってたのを、createclusterサブルーチン3回に変更して……あ!」
アゲハは術式を読み直し、見つけた。for文の中のcreateclusterサブルーチンの呼び出しが、if文による場合分けだったのを単純な羅列に変えたせいで、クラスターの生成数が3倍になったのだ。
「そもそも生成するクラスター数が3倍になるから、魔力消費も増えてたはずだぞ。」
「え…!?そうだったかしら…」
「………気づいて無いのか!?」
「わ、悪かったわね!!それより術式、直すわよ!!えーっと…繰り返しのimaxの回数を3で割ればいいのかしら!?”for i=1 to imax/3”って…」
「それだとiが3の倍数じゃ無かった時、クラスターが作られない場所が出来るけど、まあ誤差範囲か。念の為言っとくが、randomballサブルーチンも、毎回読んどけ。」
「え…ああ…」
「最初に1回だけだと、もう既に1つ目のフロギストンのクラスターのある場所に、2つ目のフロギストンとオキシジェンのクラスターを作ろうとして、安全装置が働いてエラーになってしまう。」
「わ…分かった。」
for i=1 to imax/3
call randomball(a,position,rmax,imax,i,r,theta,phi)
call createcluster(a,phlogiston,mole*nmax,position,r,theta,phi)
call randomball(a,position,rmax,imax,i,r,theta,phi)
call createcluster(a,phlogiston,mole*nmax,position,r,theta,phi)
call randomball(a,position,rmax,imax,i,r,theta,phi)
call createcluster(a,oxygen,mole*nmax,position,r,theta,phi)
:
next i
「ラン、ファイヤーライト!!」
アゲハは叫んだが、何も起きなかった。
「どうして…!?」
「一人で解決出来そうか!?」
ロクスケが珍しく心配そうに尋ねたが、アゲハは、
「助けて欲しいのは山々なんだけど…頭の中の術式を見せられないでしょう!?」
「方法なら、あるぞ…」




