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無銘の鍛冶師  作者: 星砂
9/16

八話

しばらくは調合編になるかもです・・・

キャラ達が暴走orz


調合実技の課題が申し渡されてから1週間。


アルトは結局最初にノートに書き込んだ調合で3種のプレートを作成していた。


ただ、まだどのプレートを提出するのか決めかねていたので未提出である。


「どうしよう・・・」


手のひらのプレートをなでる。


「いっそのことルダート先生にすべて渡して決めてもらったほうがいいのかなぁ?」


期間内なら何度でも提出可能といっていたことを思い出す。


なら、そうしてもかまわないかもしれない。


一応今日いっぱいまでは期間内なので授業終了後に渡しても問題はないはずだ。


そう思い、アルトはプレートを服のポケットにしまうと、ルダートが教室へと入ってきた。


いつものように教材を教壇に置く。


「アルト=ルーディン」


「へ?」


いきなり呼ばれた自分の名前に気の抜けた返事を返してしまうアルト。


「へ? じゃねぇよ。調合課題未提出はお前だけだぞ?もしかしてまだできてないとかいわねぇよな?今日が期限だって、まさか忘れてるわけじゃないよなぁ」


「わ、わすれてません。できてます!」


まさか自分だけが一度も出してないとは思わず、慌てて立ち上がるとポケットにしまったプレートを取り出しルダートに渡す。


「できてるんなら、もうチョイ早くだせ。おかげで順位がだせねぇだろ」


「す、すみません・・・」


ひたすら頭を下げながら謝る。


「まぁ、形成技術に関しては文句はねぇな」


きれいに磨かれた表面ときっちりとした形に指を這わせながらルダートは評価を始める。


「一つは物理、こっちは魔法硬度か・・・・これは?」


ルダートが三枚目をかざす。


「えっと、あの・・・耐性硬度が物理と魔法とどちらかわからなかったので2枚はそれで、残ったそれは両立した状態で一番の物理と魔法の耐性硬度が高い調合です」


「両立・・・?」


ルダートの表情が突然険しくなる。


それにアルトは内心泣きたくなった。


実際顔に内心が現れ泣き出す寸前の表情なのだが。


「一応、実用できるレベルでの両立なので、残りの二枚ほどの耐性硬度はありません」


泣き出す寸前の弱々しい声で補足説明をする。


こんなことなら出さなければよかった!


内心で叫んでいてもすでに後の祭りである。


ルダートは補足を聞きながら両立タイプのプレートをノックするように叩いたり、ひっくり返して見たりとしげしげと観察している。


無言でプレートを観察しているルダートに痺れを切らしたのは他の生徒だった。


「ルダート先生、いつまでやってんですかー。そいつで最後なら成績発表してくださいよー」


「アルトが提出最後だったんならどうせ一位はイシュトだろ。上位者が変わらないなら先に上位特典渡しててもいいんじゃないっすかー?」


普段のアルトの成績を知っているものはルダートの判定を待つまでも無いと催促する。


成績上位者にはいろいろなところで特典がある。


学科全体での上位者たちは義務も発生するがそれに見合うだけの優先権があるし、こういった小さな課題ごとにも上位数名には特典としていろいろあったりする。


鉱物学の課題特典は学年制限外の鉱物を一つだけチョイスできることである。


成績優秀であっても学年制限は絶対であり、教材申請所でもそれ以外を手に入れることはできない。


だが、こういった小さな課題で上位を取ればその枠を外れた鉱物が手に入るのである。


唯一の学年制限外の鉱物を手に入れる手段でもあるので、もともと上位の者達も手を抜いたりはしないのだ。


ちくちくと自分に刺さる視線にアルトは身を小さくしながらルダートを見上げた。


「あの、先生・・・みんなもあぁいってますし・・・えっと、その・・・」


ルダートはアルトの声を流すと教壇の上に置いていた教材のなかから金属製の杭と(つい)を取り出すと、机の上に親指ほどの太さの棒を2本並べて置き、その上にプレートを一枚置いた。


机とプレートの間に隙間ができる。


「アルト」


「は、はいぃ!」


「こっちのやつは、物理に関してはこっちのやつよりは弱いって言ったな?」


机の上においてあるのは両立タイプ。アルトは思いっきり縦にうなづいた。


「そうか・・・」


アルトの答えにルダートはまた考えるように険しい顔をしたが、アルトが何かを言う前に杭をプレートにあてがい、その上に槌を振り下ろした。


ドガンッ


「わっ」


教壇が壊れるんじゃないかと思うような音にアルトは腰を抜かした。


へたり込んでいるアルトを気にも留めずルダートはもう一つの物理耐性のプレートと交換するともう一度同じように槌を振り下ろした。


ドガンッ


今度は耳をふさいでやり過ごす。


「なんてーか、ちょっと意外だなぁ・・・」


本当にそう思っているのだろうしげしげとへたり込むアルトを見つめると二枚のプレートを生徒に見せるように掲げた。


一枚は杭の痕が一センチほど湾曲してついている。横から見れば中心だけが盛り上がっている状態だ。


そしてもう一枚は中心が少しばかり出っ張っているが、遠目からみればまず分からない。


「残念ながら順位入れ替えだ」


さっきとは違ったざわめきがそこかしこから上がる。


「少々簡単な識別方法だが問題ないな?少なくとも、この中に貫通しなかったやつはいなかったからな」


ざわめきは大きくなる。


「ちょっと待ってください」


「・・・なんだイシュト」


「・・・納得いきません・・・」


よほど悔しかったのか机に置かれた手が震えている。


「誰の目にもわかるように示したつもりだが?」


手に持ったままのプレートを掲げて見せる。ルダートは本人達の目の前で同じようなことをしたのだから納得できないほうがおかしい。


「だって、おかしいじゃないですか・・・俺は3種調合でやったんですよっ!それなのにコレだけ差が出るなんてありえない!」


キッとイシュトがアルトを睨みつける。


いまだに床にへたり込んでいたアルトは蛇に睨まれた蛙のごとく硬直した。


「絶対1年制限外の鉱物を使ってるにきまってる!そうじゃなきゃ俺が作ったやつ以上の硬度を出せるわけない!」


濡れ衣だ・・・


アルトは睨まれ、動けないまま心の中でつぶやいた。

まーだまだつづくーよー

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