三話
サブタイトル付けるのやめました。
自分のセンスの無さに・・・
連番で統一いたします。
もう一つ、文章統一もグタグタ。気づくたびに訂正はいるかとおもいますが
ながーい目で見守ってください。
人だかりの中心にいた幼馴染ラディウス=ファーレンの前には見たことのない生徒が二人立っていた。
制服の形と襟のラインの色から創具科2年の生徒だということがわかる。
だが、彼らがなぜこんなところでこんな騒ぎになっているのだろう。
「ラディー?」
アルトの声にラディウスが気づく。
「ああ、すまないアルト。今行く」
ラディウスは相手に一瞥をくれることなく背を向け人垣を抜ける。
「ラディウス、まだ話はっ」
「さっきも答えましたよ。私には必要ない」
「あぁ、なーるほど・・・」
やり取りを眺めていたリシャが納得顔でラディウスに絡んでいた二人を見た。
「待たせてしまったな」
ラディウスは二人の創具科の先輩を完全無視してアルトのそばにやってくると、さっきまでの無愛想が嘘のようにアルトに笑みを向ける。
精悍な顔立ちのリシャとは対照的な繊細な美貌の少年はその淡い青の髪と相まってさながら妖精のようである。
普段は感情が無いかのように無表情で淡々と言葉を発するので「氷の妖精」とひそかに囁かれているらしいが本人は気にしていないらしい。
むしろうるさくまとわりついてくる人数が減って清々するとまで言い切る始末だ。
対してリシャのほうはいっけん活発で人当たりが良く、周りになじんでいる様に見えるが、ある一定以上は深い付き合いはしていないというのが周囲からの意見だ。
周りが誘っても必要以上には馴れ合わない。
外見や対応は正反対でも根っこの部分でそっくりな二人だった。
そんな二人に別格扱いを受けているアルトにもかなりやっかみも多かった。
今でこそ収まってきているが、当初は結構風当たりが強かったのだ。
数ヶ月前を振り返って小さくため息をついた。
さっきの先輩達がラディウスではなくこっちをにらんでいるからだ。
「さっさと行こうぜ。時間なくなっちまう」
リシャがそれに気がついたのか、視線をさえぎるようにアルトの背を押し促す。
ラディウスもそれにならい後を追う。
うっとうしい視線の山を逃れいつもの校舎の隅の木陰に腰を下ろす。
ちゃんと手入れがされている広場とちがい、ココは雑草がおい茂っているが、それが逆に故郷の村の山を思わせて懐かしい気になる。
それに、ココだとわずらわしいほどの視線もなく、静かに食事を取れた。
元は二人を独占しているというアルトに降りかかるやっかみから逃れるために見つけた場所だったのだが、思いのほか居心地が良かったために二人も一緒に食事をするようになったのだ。
「「「いただきます」」」
思い思いの姿勢で食事をとりながらアルトは先ほどの騒動についてラディウスに問う。
「ラディー。さっきのっていったいなんだったの?」
ちょっと困ったようにラディウスは笑う。その横で、リシャが代わりに答えた。
「専属契約の売り込みだろ」
「・・・あぁ・・・」
「あいつら、創具科のやつらだろ?なら専属契約の売り込みってとこだろ。一年じゃなくて二年が出張ってくるなんて、さっすが魔法科一年の期待の星だねぇ」
「専属契約」とは剣術科で一人、魔法科で一人と交わすことができるもので、「専属契約」を交わした創具科の生徒は専属以外の者の武具を作れないという制度だ。
創具科は剣術科や魔法科に比べれば活躍の場というのはかなり限定される。
作られた武具やアイテムなどは使ってみなければ分からないからだ。
よほどの腕利きで無い限り、見ただけでその質まで判断するのは難しいし、ココは卵たちが集められた場なのだ。そこまで実力がある者は稀だ。
そのため、公平に創具科の生徒の作品が使用されるように実践以外の練習用の武具として管理される。
先入観を与えないために、その時には誰がそれを作ったのかは知られないようにされているが、実際それが気に入ったときに申請すれば作成者を教えてくれるのだ。
だが、やはり実力がある者の武具は外の武具の中に埋もれていても分かる人は多いので、人気が高い成績上位者だけに作成依頼が集中してしまう。
創具科の生徒にも負担がかかる上に剣術・魔法科の武具の質の低下にもつながるため、その予防策として「専属契約」という制度ができたのだ。
基本的に「専属契約」は自由なのだが、上位者数名に関しては学園側から義務化されている為に創具科の者にとっては一種のステータスともなっているのだ。
創具科の生徒にとって契約相手は上位であればあるほど良いのである。
このとき学年は関係ないところが今回の騒動の原因なのだろう。
上位者の義務に関しても契約相手の変更はいつでもできるので獲得競争は熾烈を極めているらしい。
「一年に関しては経験を積むって名目で義務は発生しないから断っても問題ないけどなー」
リシャが肩をすくめながらいうと、ラディウスはため息をついた。
いろいろ大変らしい。
「何度断っても入れ替わりに人がくる・・・・」
「あー・・・断り方がわりぃんじゃねぇーの?」
「・・・リシャ・・・確か君も一年剣術科の上位者だったはずだが・・・・?」
言外に同じように迫られてるはずだと問えば。
「おれ、ちゃんと2年になったときの専属相手決まってるからお断りっていってるしー」
「「は?」」
アルトとラディウスの声がはもる。
「まぁ、完全にあきらめてくれない自信過剰のやつらもいるけど、言わないより半分くらいは減ってるから効果はあるぜ?」
「嘘も方便とはよく言ったものだな」
ラディウスがあきれながら言うとリシャは顔の前で手を振り否定する。
「なにいってんだよ、アルトと契約するにきまってんだろうが」
「えぇ!?」「その手があったか」
驚くアルトとは反対にラディウスは納得顔で頷いた。
「こんとき、誰と契約するかってのははぐらかすってのがポイントだ。アルトの名前だしたら絶対また売り込み激しくなるだろうし、アルトにも押しかけてく奴がでてくるだろうからな」
リシャの言葉を聴いたアルトはサァーっと青くなる。
「じょ、冗談じゃないよー!!」
一話目標2000文字。
長くないけど、コレがわたしのせいいっぱい(げふっ