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無銘の鍛冶師  作者: 星砂
13/16

十二話

なんとか11日あっぷ。

ちょうど1ヶ月目です。

PVアクセス10万とユニークアクセスが1万5千超えでちょっとびっくり。

読みに来てくださった方々ありがとうございます。

課題提出とその後にあった出来事をアルトはいつものお昼タイムにリシャとラディウスに打ち明けた。


「ってことがあったんだけど・・・なんで二人して笑ってるわけっ!?」

「笑ってねぇよ」

「思いっきり腹抱えて笑っておいて今更!?」


さっきまで爆笑していたリシャは目じりに溜まった涙をぬぐいながら平然と言い切る。

ラディウスにしてもリシャほどではないにしても口元を押えて肩を震わせているので同罪だ。


「今の話の何処に笑う要素があるっていうわけ?」

「しいて言うならナイフ使った時のお前の非常識ップリに呆然としてたやつらの表情?想像するとなぁ」


言いながら想像したのか再びお腹を抱えて肩を震わせる。


「ボクの何処が非常識なわけ?非常識って言うのは一年の癖に先生達までぶっ倒してるリシャたちのほうでしょ!」

「金属を切り裂けるようなナイフ所持してるほうがよほど非常識だって」

「・・・なんで?切れないと装飾するとき困るじゃない」


心底不思議そうに返されるが、そんな反応に慣れきった二人はお互いの顔を見合わせて肩をすくめるだけだった。


「それはおいておいて、同じクラスで仲の良い友人が出来たのはよかったとおもうよ」

「あー・・・それは確かにな」

「いくら私達でもずっとそばにいることは出来ないからね。同じクラスならアルトと鍛冶に関して話も合うだろう?」

「・・・ともだち・・・?」


こてんと首をかしげながら不安そうに見上げてくるアルトにラディウスは《氷の妖精》と呼んでいる者達が見たら魂が抜けそうなほど穏やかな笑みを浮かべると頷いた。


「あの村では子供は私達だけだったから友と呼べるのは私達しかいない・・・でも、ここには同年代がそれこそいくらでもいるからね。話を聞く限り、彼らは君に興味を持っている。良い意味で。なら友人でいいんじゃないかな?」


少しでもアルトに害意を持っていたのならばアルトに悟られないようにそれなりの手を打つつもりでいたのだがその必要もなさそうだと、表情に欠片も出さずに考える。

過保護だとは思うが、もうこれは昔からの刷り込みでどうしようもない。

リシャと二人で幼い頃からこのドジでお人よしな幼馴染を守ってきたのだから。


「彼らに関しては何も心配ないだろうけど・・・」

「だろうな。けど提出したっていうプレートは・・・騒ぎになるんじゃねぇ?」

「なるだろうね、確実に」


アルトの提出した三枚目のプレート。あれは確実に騒ぎになるだろうと二人は確信している。

イシュトという生徒が騒いだように一年制限以外の鉱物で調合されたからではなく、一年制限の鉱物のみで調合されたという意味でだ。

ルダートがどういう対応に出るかはまだわからないが、アルトの無実が証明されれば、それはそれで騒ぎは必至である。


「アルトが提出したっていうプレートは・・・6種調合だっていっていたっけ」

「そうだよー。一年制限の中では物理と魔法の耐性硬度を両立させた調合はあれが一番かなぁ。6種以上の調合ってボクもまだ試したことないし」


さらりと答えるが、調合は3種調合を行えるものはもう一人前とされ、4種調合だと一流といわれている。過去の偉人達の中には8種調合を行ったものいたというが、現在それほどの調合をこなせるものは存在していないといわれている。

実際、この学園に4種調合を行えるというものは上級生にすら数名。5種なら一人もいないだろう。


「6種調合で成功率は?」

「6種だと大体半々かなぁ。5種だったら8割くらい。4種は最近失敗しなくなったよ」

「・・・ずいぶんと上達したんだね・・・」


ここにくる以前は6種調合の成功率は3割ほどだったし5種も5割だったはずだ。

それでも、すでにその腕は他の生徒の追随を許さないものだったけれど。


「村にいた頃と違ってこっちって材料がそろうの早いからいろいろ試せたもの。・・・学年ごとに制限あるのはどうにもならないけど・・・」

「そういや、調合した金属ってどうするんだ?作りっぱなしじゃ場所がないだろ?」

「ある一定の質をクリアーしてれば材料申請所のところで買い取ってくれるよ。学園側の教材になってたり、調合が苦手な人達が調合済みの素材を申請したりするからそっちにまわされたりするんだって」

「創具に携わってても調合苦手ってやついるのか?オレてっきりアルトまでは行かなくとも誰もが普通に調合は出来るもんだと思ってたんだが?」

「そうでもないと聞いた。どうしても得手不得手はあるらしいからね。同じ調合でも自分より質の高いものを作れる者がいたらそこから譲ってもらうってことも上級になるにつれて多々あるらしい」

「へー」


そこまで聞いてリシャはふと考え込んだ。


「調合済みのやつを学園が買い取ってんだよな・・・?」

「そうだよ?」

「ならなんでアルトの調合技術がいまだなんの騒ぎにもなってないんだ・・・?」

「言われてみれば、確かにおかしいな」

「買い取り表に乗ってないやつは作ってないよボク」


あっけらかんと種明かしする。


「買い取り表?」

「学園側が不足してるっていうかほしい調合の一覧が張り出されてるの。難易度とか質とかあと不足具合で買い取り金額もちがってくるから、その中で一年制限で作れて一番不足なの選んで作ってたから全部2種調合かな。それに、ほしい素材を必要数買えるだけの金額をまかなえる分しか作ってないし」

「アルトらしいな」

「いっそ見境なく作ってくれてたらオレらの苦労半減してると思うんだがな・・・」

「やめてくれ、あんなこと二度とごめんだ」


かなり嫌そうにラディウスが顔をしかめた。

今でこそ落ち着いているが以前アルトは見境なく調合にどっぷりはまり込んでいた時期があったのだ。


「あー・・・あそこまで見境なしにしろとはいわないぞ、うん」


ラディウスの言葉で思い出したのかリシャもうんざりした表情を隠しもせずに頷いた。

思いっきり自覚があるアルトがもじもじと服のすそをいじる。


「今はちゃんと約束守ってセーブしてるよっ」

「ぜひ今後も守ってくれるとうれしいよ」

「ボクだって丸二日説教はもう嫌だもの」


二人がそれぞれ丸一日説教してくれたのだ。あれはさすがに二度と経験したくない。

あれ以来アルトは二人と一定の時間以上調合をしないと約束したのだ。

今でもその約束は有効である。


アルトは気まずさをごまかすように残りのお昼に手をつけた。







「そういや、アルト今度の休日は暇か?」


お昼も食べ終わり、ゆっくりしていたところにリシャが突然切り出した。


「今度のって、明後日の学休日のこと?」

「おぅ」

「予定はないから炉を借りて調合でもしてようかとおもってたけど」


新たにメモ帳に書き連ねた調合を試そうかと思ってたのでそう告げる。


「なら、コロシアムに来ないか?」

「コロシアムに?」


闘技場(コロシアム)

剣術科と魔法科が学年、クラスの区別なく対戦できる場である。

もちろん参加しなくても観戦だけでも可能で、学園外の人間でも自由に観戦できるので一種の目玉行事にもなっている。

月一回のトーナメントとなるとその盛り上がりは下手なお祭りよりもすごいらしい。

アルトはまだ一回も見たことはないのだが・・・


「今度のトーナメントにオレ等出るからさ」

「・・・オレ等ってまさかラディーも出るの?」

「成り行き上ね」


ラディウスは肩をすくめながらも否定はしない。


「珍しいね・・・ラディーってあんまりこういったことに興味ないでしょ?」

「今回は仕方なく、だよ。でもどうせ出るなら楽しもうかと思ってね。アルトが応援に来てくれるなら気合も入ると思うし・・・どうかな?」

「二人が出るって言うならもちろん応援にいくよっ」


握りこぶしを固めて宣言するアルトにリシャとラディウスは目だけで相槌を打つが、興奮するアルトは気付かない。


「どうせなら今日知り合いになったこも誘って一緒にきたらいい」

「・・・いっしょに・・・?」

「学年も関係なく参加するからね。上級生達の武具を見るのも勉強になると思うから、損はないと思うよ」

「・・・一応、さそってみるけど・・・」


アルトは二人に対しては遠慮なく何でも言ってくるが、その他の人間には結構警戒が激しい。

小さな村で、同年代が自分達しかいなかったせいもあるだろうが、人と対峙するのが驚くほど苦手だ。

唯一の例外が調合が関与しているときと、アルトの創作意欲を刺激してくれる人だけだ。


「そんなに深く考えなくても、一声かけて一緒に行ってくれれば運がいい。くらいの気持ちでいいんだよ?無理やり誘ってきてといってるわけじゃないんだから」


苦笑しながらアルトの頭をなでる。

これをきっかけに少しでもアルトの人見知りが直ればと思ったが、どうやらまだまだらしい。


「・・・トーナメントって一度も見たことないけどどんな風なの?」

「個人戦やチーム戦もあるけど、オレ等が出るのはペアで出るタイプ」

「二人で出るんだ」

「個人で出ても良かったんだけどさ、今回景品が結構いいから抜け駆けなしってことでペアで出る」


なぜかもう優勝したような強気な発言でリシャが言う。


「まだ参加者リストが出揃ってないのに強気だな」

「やるからには強気でやらなきゃ意味ねぇだろ?戦う前から負ける気なんてごめんだね」

「確かにね」

「二人とも強いから優勝できるよきっと!」


幼い頃から二人の強さを間近で見てきたアルトは本当にそう思う。

だから、そういったのだがそれを聞いた二人は顔を見合わせた。


「アルト」

「なに?」

「オレ等が優勝したら頼みたいことあるんだけどいいか?」

「優勝したら?」

「そう。優勝できなかったら意味がないことだから、優勝できたらの話」

「・・・ボクで出来ることならいいけど・・・」

「平気。むしろアルト以外に出来ないから」

「なら、いいよ」


アルトの返事をもらった二人はうれしそうに笑ってくれたのでアルトもつられて笑みを見せた。

このときにアルトは心底彼等の頼みごとについて詳しく問いただしておけばと後になって後悔するのだが、まだこのときにはまだあずかり知らぬことだった。

ということで、近々リシャとラディウスの活躍の場が出来そうです。

どうなることやら(ぉぃ



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