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無銘の鍛冶師  作者: 星砂
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十話

新キャラぽんぽんでてくるな・・・


対処しきれるのか、私

硬直から回復したアルトの前に座った二人。

意識が飛ぶ前になにか思っても見なかったようなことを言われたはずだが、あまりの衝撃に前後の記憶が飛んでいた。


「あ、あの・・・さっき・・・」


おずおずと聞くと金髪・翠の瞳の美少年レイルスト=アークライトと名乗った彼がにっこり微笑みながら応えてくれた。


「はい、大変不躾なのはわかっているのですが、調合のコツをご教授願えませんか?ルダート先生がああおっしゃられたので・・・」


レイルストの言葉にふと思い返す。ルダート先生はあの時自分になんと言っていたっけ?


《アルトは今回提出したやつでクリアだから新しい調合なり、他の奴にコツ教えるなり好きな事してろ》


「コツを教える・・・・?」

「はい。アルトさんがよろしければ・・・ですが」

「ボクが・・・?」

「だからさっきからそういってるじゃないの」


ふらふらとアルトは手をほほに当て、ぎゅっとつまんだ。


「・・・いひゃぃ・・・」

「・・・なにやってんのよ・・・」


とっぴな行動に出たアルトにレイルストとリーナが目を丸くしているが、アルトは気づかない。

しばらくつねったまま引っ張ったりほほをぺちぺち叩いたりしていたが、ようやく気が済んだのか両手をおろした。


「夢じゃない・・・?」

「あなた、そんなこと確かめるためにそんなになるまでつねってたの?」

「リーナってば、そんなこと言っちゃだめだよ」


本気で呆れた声音でリーナぼやくのをレイルストがいさめる。


「だって、ボクにそんなこと聞きに来る人なんていなかったし、いるとも思わなかったし・・・」


まだ心ここにあらずな状態で息をはく。


「びっくりしすぎて、まだどきどきしてるぅ・・」

「なんか、ずいぶん噂とちがうわね・・・」

「うわさ?」


リーナの言葉にきょとんと返す。


「・・・知らないならいいわよ。あなた見てたらそんなのデマだって丸わかりだし」

「そうですね。やっぱり噂とは当てにならないものなんですね」


どんな噂が流れているのか気になったが、二人の反応でよほどとんでもない噂が流れているのだろうと思うと聞くのがはばかられた。

聞かなかったことにしよう。

内心でそう決着をつけるとアルトは改めて二人を見た。


「ボクに調合を教えてほしいってさっき言っていたけれど、二人はそれは嫌じゃないの?」


創具にかかわる者達はそれぞれに自分の作品にそれなりのプライドを持っている。

イシュトがいい例だろう。

特に家が創具に携わる家系ならばそのプライドは余計に顕著になる。

見たところリーナとレイルストも結構な家柄の人間に見えた。さっき頭を下げたのだってかなり屈辱的なことではなかろうか?


「まぁ、それなりに思うところはあるわよ」

「本来なら、こうやってあなたに教えを請うこと自体失礼なのだと思ってます。あなたが築き上げてきたものをいきなり見せろといっているようなものですから・・・」


恥じ入るようにレイルストがうつむく。

確かに普通ならば同じ創具に携わる者達は調合に関して師事した相手以外に教えを請うことはしないし、相手もそう簡単に教えることはない。それだけ自分の仕事にプライドがあるし、苦労して見つけた配合をただで教える義理もない。

アルトですら自分の調合にそれなりのプライドはあるのだから。


「けど、ルダート先生も言ってたみたいに私達はまだひよっこどころか卵なのよね・・・今プライドにしがみついたって何の成長もないわ」

「僕も同じです。たとえつたない技術でも僕はもっといろいろなものを作りたい。その為に僕は、僕達はここに入ったんです。その機会を自分で潰すような真似はしたくない」

「レイルストさん・・・」


二人の決意に胸が熱くなる。


「ボクが・・・ボクに何がどれだけのことを出来るかわかりません。けれど、それでいいとおっしゃるなら・・・」


アルトの言葉に二人が顔を見合わせる。そしてアルトに向き直ると同時に頭を下げた。


「「ご指導よろしくお願いします」」

「あ、あたまあげてくださいぃ~」


人から頭を下げられるようなことをされたことないアルトはわたわたと二人に叫んだ。







とりあえず二人の頭を上げさせるとアルトはリーナとレイルストの調合のやり方を問う。


「あの、二人ともこの前の課題の素材のこってる?できれば、調合したやつも」

「残ってます」

「あるわ」


腰にあるバッグから二人が素材と調合したプレートを取り出し机の上に置いた。


「二人とも同じ素材で調合したんだね」


黒いつるりとした表面の鉱石と同じくつるりと光をはじく紅い鉱石。

基本調合の素材である黒石鉱(こくせきこう)紅石鉱(こうせきこう)だ。

サクランボ大のキューブ状にカットされた鉱石がそれぞれ4つづつ机に転がっている。


「こっちが提出したものと同じ調合のプレートです」


二人のプレートを手に取り軽く叩く。

レイルストとリーナはプレートを観察するアルトの表情に息を呑んだ。

普段の弱々しい雰囲気が払拭され、自分達の師匠たちの様な張り詰めた空気をまとっていたのだ。


「1:1で調合してるね」

「・・・わかるんですか・・・?」

「簡単な2種調合なら大体わかるかなぁ・・・たぶんルダート先生もわかるとおもう。けど、これはちょっと・・・」


アルトは少し言いにくそうに口をつぐんだ。言おうとはするのだがすぐにためらい言葉にならない。


「なによ、いいたいことあるならはっきりいいなさいよ」

「僕らはあなたに教えを請う立場です。遠慮なさらずいってください」


そろってそう言われ、アルトは逡巡しながらもおずおずと口にした。


「調合っていうには・・・単純すぎるかなぁって・・・」

「な、ん、ですって・・・?」


リーナが顔を真っ赤にして立ち上がる。怒りのあまりか言葉がでず、パクパクと口が開くが音になっていなかった。

彼女の怒りももっともだろう。彼女達の精一杯で作成されたものをお粗末と言い切られれば誰だって怒るに決まっている。レイルストのほうもさすがに固まっている。

申し訳なさそうにしながらもアルトは言ったことを覆すことはなかった。

そんなアルトをみてショックから立ち直ったレイルストがリーナの腕を引いて座らせた。


「理由を、お聞きしても・・・?」

「オレも聞きてぇな」


ドカッとアルトの横にいきなり人が座った。


「口出しする気はさらさらなかったんだけどよ、単純なんて言われちゃだまってらんねぇ。それなりの理由があんだろぉな」


アルトの頭二つ分飛びぬけた、残バラに短く切られた髪に意思が強そうなつりあがった黒の瞳の青年がジロリとアルトを睨んでいた。

固まっているアルトの目の前にプレートをかざす。


「オレもその調合で作ったくちでな。俺は基本調合の中でこの調合が一番硬度が高かったんだが、それでもお粗末といいやがるかよ」

「・・・あなたは・・・?」

「ガイ=ナッツァー。んで、どうなんだよ」

「アルトさん、すいません僕も教えてほしいです。ボクもこの調合が一番硬度が高かった・・・リーナだってそうです・・・」


レイルストに言われ、アルトは机のそばにかけてある鞄を手に取るとその中から小瓶を二つ取り出した。腰にあるポシェットからはガラスで作られた匙の束を取り出す。


「これは?」

「黒石鉱と紅石鉱の粉末。ボク新しい調合を試すときにはいろいろやるから粉末のほうが調整しやすくて・・・すいません、これ借ります」


そばにあった調合用の耐熱板を取ると机の上に置き、その上に先に黒石鉱の粉末を量を変えて乗せてゆく。左から右に量を減らしていき、九つ並べると今度は紅石鉱の粉末を量を逆にして置いてゆく。

一番左の山が黒石鉱の量が多く、真ん中が1:1の割合でそこから右に行くにつれて紅石鉱の量が多い。

それを匙のもち手のところで軽く混ぜてゆく。


「これを、融解させます」


耐熱板を持ち上げ作業場へ持っていこうとするとガイがそれを取り上げた。


「オレが行ってくる」


アルトが何か言う前にさっさと持っていかれ、仕方なくアルトは席につき、鞄の中をあさぐり、中から黒石鉱と紅石鉱と20cm程の長さの筒を取り出した。


「それは?」

「素材を粉にする道具だよ。粉で注文すると発注に時間かかるから自分でやってるの。あれガイさんが終わらせてくれないと説明できないから」


そういって筒の上下の蓋を取り外すと一方を粉の入ったビンの口にあて、上の口から数個素材を放り込んだ。そして、再び蓋をすると蓋の上部にある爪を立たせると、クルクルと回し始める。


「あ、粉になってる」


サラサラと筒の下から黒い粉末が落ちてゆく。


「やってみる?」

「はいっ」


レイルストは筒を受け取りそっとまわす。


「わっ」


抵抗無く廻る筒に思わず声を上げる。

中では確実に黒石鉱が入っていて、それを削っているはずなのに、石を削っているというような手ごたえがまったくないのだ。


「すごい。ぜんぜん硬い鉱石を削ってるっていう感覚じゃないですこれっ」


興奮してまくし立てるレイルストにまだ少し怒りが収まっていない状態ではあるがリーナも興味をそそられたのかしげしげと筒を見つめる。


「そんなに軽いの?」

「まったく抵抗ないんです。ほら、リーナもやってみてください」


まるで玩具を与えられた子供のようにはしゃいでいる。

半信半疑な顔で、それでも興味を押えられないのかリーナが手にとって言われたとおりに動かし、目を丸くしていた。


「なにこれ、面白いわっ」

「ですよねっ、僕もコレほしいです」


二人の興味が完全に筒に移り、リーナの怒りが収まったことにホッと息をついた。

どちらにしろ言っていることは同じなので結果は変わらなかっただろうが、もう少し言葉を考えていえばよかったと後悔する。

そう思ってもう一度ため息をついたとき、作業場のドアが開き、ガイがでてきた。


「おい、できたぜ」


手に持った耐熱板をアルト達の前に置く。


「んじゃ、ご講義願おうじゃねぇの?」


ガイの言葉にはしゃいでいたレイルストとリーナも姿勢を正してすわり、アルトを見つめてくる。




アルトはゆっくり息を吸って深呼吸すると三人を見据えて頷いた。

調合・・・

実はあんまり深く設定つくってなかったり・・・(いまさら・・

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