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無銘の鍛冶師  作者: 星砂
10/16

九話

ちょうど10部目~

ご指摘あったのでちょっと改善ぽいことをしてみました。

長さについてもちょっと自分でも短いなーとおもってたのでがんばってみたいと思います。

「絶対1年制限外の鉱物を使ってるにきまってる!そうじゃなきゃ俺が作ったやつ以上の硬度を出せるわけない!」


イシュトの主張に彼の取り巻きといえるもの達からも同じようにおかしいと声があがる。


「まぁ、一年制限外であれば2種調合でも硬度は出るわなぁ・・・」


ルダートがそういい、プレートを玩びながらアルトを見る。


「えっ・・・」


まさか、ルダートまで疑っているのだろうか?

だがルダートはアルトの視線に笑うとガシガシとへたり込んでいるアルトの頭をかき回した。


「なっさけねぇ顔してんじゃねぇよ」


見上げるアルトの額にでこピンをあてる。


「ルダート先生!?」

「3種調合で、この硬度を出すのは難しいかもしれない。けど、それを判断するのはイシュトお前じゃない」


まだなにか言いたそうなイシュトを座らせ、へたり込んだままのアルトの腕を引いて立たせた。


「お前達は俺が言っただけじゃぁ納得しにくいだろうから、一応アルトの提出物は一度他の学年の調合担当とも話し合う。それまで特典はお預けだ。文句のあるやつは今のうちに申し出ろ」


グルリと生徒を見回しながらルダートが告げるとすかさずイシュトが手を上げる。


「もし、一年制限外の鉱物が使用されていた場合、ちゃんとそいつは罰を与えられるんですよね・・・」

「イシュト・・・」


さすがにルダートもあまりのしつこさに渋面になる。


「この際はっきりしてたほうがいいでしょう?二度とこんな馬鹿な真似を起こさせないためにも」


完全に不正を行ったと決め付けた態度にアルトは泣きそうになる。なぜ、ココまで言われないといけないのだろう。


「ボク、一年制限以外の素材は使ってないのに・・・」


うつむいて涙をこらえていると、支えてくれていたルダートの手がギュッと一瞬強く握られた。

その感触に顔を上げてルダートを見ると一瞬目が合い、ぽんぽんと背を叩かれた。


「わかった」

「・・・せんせぇ・・・」

「もし、こいつが不正を働いていたってんなら、それなりの罰を用意しようじゃないか」


その言葉にイシュトが満足げに頷き、アルトの表情が曇る。


「あぁ、先生はちゃんとわかってくださってますね」

「ただし」

「えっ?」

「こいつが正真正銘、1年制限の素材のみを使用してあの課題調合を成したと証明されたときには、イシュトお前こいつに土下座して謝れよ」


ルダートの言葉に一瞬静寂が広がった。


「な、なっ・・」


言われた当人は言葉を失い、アルトも予想外の言葉にポカンとルダートを見上げる。


「なに、予想もしてませんでしたってバカ面さらしてんだ」

「なぜ俺がそんなことしなければならないんですかっ!」


イシュトが顔を真っ赤にして叫ぶ。


「なぜって、お前相手に条件突きつけといて違ってたら自分には何もないってありえないだろーが?しかも、お前は最初っからこいつが不正をしたと決めてかかってる。イシュト、お前は自分がどれだけ相手を侮辱しているかわかっているのか?」


シンと静まり返ったクラスの中でルダートの声だけが静かに響く。


「自分以上の物を作り上げた者に対し、尊敬でもなく、それ以上の物を作り上げてやるという奮起でもなく、否定ってその根性もきにいらねぇ」


見上げてくるアルトに席に着くように促しながらルダートはイシュトを見据える。


「俺達創具に携わる者は武具にしろ装具にしろ使う奴の能力を最大限に生かす物を造らなきゃならん。その為にお前らはここに学びに来ているはずだ。ならば、人を貶める前に自分の能力を磨け!今の自分の能力に溺れるんじゃねぇ。お前らはまだ殻がついたままのひよっこだってことを忘れるな!」


何名かが恥じ入るように俯くが、イシュトや上位者数名たちは不満そうに囁きあっている。


「たくっ、らしくもねぇ説教させんじゃねぇよ」


ガシガシと頭をかきながらルダートがぼやく。


「とりあえず、アルトの評価が出るまでは特典はお預けだ。次の実技課題を出しておくぞ」


先週と同じように基本調合を上げる。


「課題は前回と同じ《自分のもてる最高の耐性硬度をもつ調合》。ただし、今回は物理耐性でなく魔法耐性だな。アルトは今回提出したやつでクリアだから新しい調合なり、他の奴にコツ教えるなり好きな事してろ」


アルトの他は全員物理耐性のみ提出だったのだろう。


「は、はい・・・」


返事をするとルダートは少しの注意事項をさらっと流したあと解散させた。

材料収集に向かう者達が教室を出て行く。


「いい気になるなよアルト」


低く唸るような声が教室の出入り口から聞こえ振り返るとイシュトがドアに手をかけていた。


「ルダート先生はわからなかったみたいだがお前の不正は絶対他の先生があばいてくれるからなっ」


はき捨てるようにそういって振り返りもせずにイシュトは教室を出て行き、取り巻きたちがその後を追いかけてゆく。

イシュトの捨て台詞にシンと静まり返った教室にアルトはいたたまれなくなった。あそこまれ言われるほど自分はイシュトに何かしただろうか?

思い出そうにも今まで彼としゃべったこともないのだから心当たりなどあるわけがない。


うつむくと広げっぱなしだった鉱物の本が目に入った。

今日提出したもので自分は今回の課題をクリアしたことになってしまっているし、一週間前にノートに書き連ねた調合もやり尽くしたのでやることがない。

魂までも抜け出てきそうなため息がアルトからもれた。


「・・・ねぇ、いま、いいかな・・・?」

「えっ?」


アルトが顔を上げると目の前に二人の生徒が立っていた。


「えっと・・・あの・・?」

「あたしの名前はリーナ=ファルナー。こっちはあたしの従弟で・・・」

「僕はレイルスト=アークライトといいます」


二人は自己紹介するといきなり頭を下げた。


「うえぇ!?」

「あたし達に調合のコツおしえてください!」

「・・・えぇっ!?!」


思っても見ない申し出にアルトの思考は真っ白になったまま完全に固まっていた。

20秒たって、さらに30秒たってもアルトからの反応がない。

断るにしてもそろそろ何か言ってくれてもいいのではなかろうか?

痺れを切らしたリーナが顔を上げるとそこにはびっくりしたままいまだに硬直しているアルトがいた。


「あの・・・アルトさん・・・?」


レイルストも顔を上げてアルトを見る。けれど、声にも反応しないアルトにリーナとレイルストは顔を見合わせた。


「どうしよう・・・?」


結局アルトの硬直が解けたのはこれから10分経過したあとだった。

連続更新は今回で最後になるとおもいます


一週間に最低一回は更新したいと思ってますが・・・・


次回はアルトの調合講義?

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