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転生勇者が世界を救った300年後、荒廃した世界で傭兵少女は強化人間少女と出会う  作者: B・T
第一章 子供嫌いの巨人

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強化人間 中編

 ウキウキとした足取りのサーバルを追いかけていると、三機のアーマードナイトを整備する女性の元に到着する。


「おーいレプティル、お前の好みそうなオモチャ見つけて来たぞ」

「んー?」


 ピンク色寄りの癖のある長い髪を持つレプティルは、アンニュイな声を垂らしながら振り向いて来る。

 そして、そんな声になるのも頷ける位、目の下に出来た分厚いクマを見せつけながら、かけているメガネの位置を直す。


「……あー、お前らか、戻っていたのか」

「ああ、てか、また徹夜か?」

「まぁな、寝てるより作業してた方が楽しい」

「楽しいのは良いが、ちゃんと寝ろよ、死にそうな顔してるぞ、ラミアって寝不足はヤバいんだろ?」

「余計なお世話だ」


 アーシャの忠告も聞かず、レプティルは自分の血色の悪い顔なんてどうでも良いかのように作業用の端末へ目をやる。

 下半身の先端部分でマグカップを持ち、その中身をすする。


「なぁ、兄貴は?兄貴はどこだ?」


 内心心配するアーシャの隣で、サーバルは兄を探してアタフタしだす。

 言われてみれば、オセロットや他の面子の姿も気配も無い。


「徹夜のアタシより寝ぼけるな、今はまだ午前五時だ、アイツ等まだ寝てる」

「あ」

「そう言えばそうだったな」


 色々有り過ぎて時間を忘れていたが、まだ夜が明けて間もない。

 頭の耳をペタリとさせるサーバルに苦笑しながら、アーシャは早速本題へと移る。


「それより、コイツだ、今回の遺跡で見つけて来た」

「んー?」


 ウェポンコンテナを下に置き、見様見真似でスイッチを押して中身を展開。

 フィリアの時と同様に装備類のかかったラックが出現し、中の装備類が現れる。

 それを見た瞬間に興味を示したレプティルは、ライフルへと手を伸ばす。


「ん?ライフルか?……ッ!?これは」

「気に入ったか?」


 手に取った物が何なのかに気付いたレプティルは端末を閉じ、興味は自分の作業からフィリアの装備品へと移る。

 瞬時にアーシャの質問にさえ気づかないレベルの没頭を見せ、ライフルを観察する。


「高精度のミスリル製バレル、魔導ポリマーで作られたフレーム……ほぼ全てのパーツが現在では精製不可能な完成度だ……これだけの物をどこで手に入れた?」

「いや、さっき遺跡だって言っただろ……で、使えそうか?」

「……」


 一番重要な事だ。

 フィリアのライフルが使えるのならば、わざわざ自分の部隊に入れる必要も無い。

 それだけでなく、仮初でも力を手に入れられる。

 面倒ごとはいくつも解決する。


「……無理だろうな」

「あ?何でだ?」

「詳しく調べてみないと解らないが、この手の武器は持ち主以外使えない場合が多い、実際、ここのセレクターが動かない」

「……どれ?」


 ライフルを返してもらったアーシャは、ライフルの安全装置をいじる。


「……クソ」


 壊れそうだったので、悪態をつきながらライフルを返却する。

 そして、不本意ながらフィリアの事も報告する事に決めた。


「……ついでに、良く解らんガキも見つけた、戦闘ログを見てみろ」

「ほう……」


 完全に興味を惹かれたレプティルは、ライフルを尻尾に巻き付けて端末を開き直す。

 メイジギアの戦闘ログは、預けると同時にこの艦の魔導サーバーへ転送される。

 恐らく、共有されたデータを閲覧しているのだろう。


「……相変わらず自分の興味が有る物には熱が入りやすいな」

「確かにな、まぁでも、一応遺跡で見つかった遺物の調査を行わせるために雇ってるから、この熱はありがたいだろ」

「それもそうだけどよ(まぁ、そんな奴雇わなくても、全部わかってそうな奴いるけど)」

「アーシャちゃぁぁん!!」

「ッ」


 泣き叫んで背後から抱き着いて来た変態エルフのせいで、不快な気分が溢れ出す。

 これから真剣な話しをしなければいけないのだから、本当に黙っていて欲しい。

 とりあえず肘を入れ、前歯をへし折っておく。


「たく」

「アーシャ、お前が言っていたのはこの子供か?」

「あ?」


 後ろで悶絶するケフュレスは置いておき、レプティルが見せて来た端末へ目を通す。

 フィリアが勝手に契約をした直後の静止画を目にし、アーシャは頷く。


「……そうだ」

「映像の言動から見たアタシの所見だが、コイツは第七世代型の強化人間だ」

「……強化」

「人間?」


 今や聞き慣れない言葉に、アーシャとサーバルは首を傾げた。

 だが、字面からどんな物なのか、アーシャは少し推理する。


「……まさか、アイツの強さは、人工的に与えられた物、て事か?」

「……まぁ、そんな所だ」

「(……だったら、私にだって)」


 同じ事をすれば、力を得られるキッカケになるかもしれない。

 胸の奥から期待が込み上げ、いっそフィリアから方法を吐かせようかと思った。

 それに気づいたのか、レプティルは思い出したかのようにアーシャへ目を向ける。


「あ、言っておくが、自分も同じ事しよう何て思うんじゃないよ、下手したら脳が焼ける」

「は?」


 急に不穏な事を言われ、アーシャは硬直した。


「強化人間は、いわば人型種族の兵器化、私が知っている範囲だと、身体の機能以外が死ぬ、人格が破綻する、何て副作用もあるようだ、兵器としては立派になるだろうが、美しくないって、私の師も毛嫌いしていたよ。」

「……」


 それでも、力が手に入れられるのであれば。

 胸の奥で燃え上がる感情に背を押され、アーシャは一歩踏み込んだ。


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